「育てる仕組み、育つ仕組み」
気づかぬ能力引き出します。
私の著書です。在庫がなくなりましたので、本の内容をブログにアップしました。
オートベル創業者 大内秀夫
目次
はじめに …………………………02
第1章 オートベルの歴史 ………………05
創業までの道 06
創業時の原点 12
古代史 24
現代史 36
第2章 オートベルの理念と指針 ………47
第3章 ブログで社員教育 ………………57
社員へ寄せる社長の思い 60
社長のつぶやき 88
大内流・生きるヒント 154
オートベル年表 …………………201
あとがき …………………………204
はじめに
生きている中で、自分の身に降りかかることは、すべて必然です。意味があります。そう考えれば、苦難や試練のときを迎えても、それを乗り越え、さらに一回り大きな自分になることができます。例えば、車を運転していて、まったくのもらい事故に巻き込まれたとき、「ついていない」と考えるか「ついていた」と受け止めるかによって、その後の生活や人生が変わってきます。
「ついていない」と考える背景には、事故は偶然だったという認識があるはずです。偶然であるなら「これからは気をつけよう」という意識は芽生えにくいでしょう。しかし、事故を必然と捉えて「ついていた」と考えれば、「交通事故というのは、自分に一切の過失がなかったとしても起こりうる」ということを学び、その後の安全運転に対する意識が高まるはずです。
私は、生き方がうまい方ではありません。どちらかと言えば、不器用だと思います。しかし、若いときから、さまざまな失敗を乗り越えている内に、人生は必然で成り立っていることに気がつきました。そして、多くの艱難辛苦から学んだことを、今後の人生に生かしてみようと思ったのです。
ピンチはチャンスだと多くの先人たちが言います。もちろん私もそう思いますが、実際にピンチを迎えると、なかなか「これはチャンスだ」とは考えにくいものです。そこで私は「この試練は自分の人生において必然だ」と捉え、ポジティブな思考で問題解決に全力で取り組むことにしたのです。
この本でこれから私が述べることは「人生は必然で成り立っていること」と、「ピンチをチャンスへ転化すること」の意味です。自分の身の回りの事情がすべて順調に進んでいるときはもちろん、何らかの壁にぶつかってしまったとき、何度も読み返して、その真意を感じ取ってください。
本題に入る前に、人間の特性を二つお話しします。
「人は、インプットより、アウトプットで成長する」
知識を学んでいるときより、人に伝えようとするときのほうが成長するようです。
一生懸命相手に伝えようとすると、本質を理解する必要があります。不足していることを学ぶために又、勉強します。自分の意思で、必要なことを、必要な分だけ学ぶときに「成長」すると思います。後輩が入ると見違えるように成長する人がいます。地位が人を成長させるとはこのことだと思います。
「人は、何を言っているかより、誰が言っているかで、聞く耳をもつ。」
多少うまくいっている人の話は聞こうとしますが、良くない人の話は聞こうとしません。相手の立場より、話の中身を上手にとらえると良いのですが、どうしても色眼鏡で、相手を見てしまいます。人を見かけで判断してはいけないといわれますが、多数の人は中身より見かけで判断するようです。
私はこの人間の特性を上手に利用しています。
本文に、ダブっている言葉や表現がたくさん出てきますが、大切なことなので上手に受け止めて読んでいただきたいと思います。
第1章 オートベルの歴史
26歳で人生をリセット
茨城県の東海市で生まれた私は、18歳のとき、家出同然で実家を飛び出し、横浜や大阪で職を転々としながら無為な日々を過ごしていました。水商売や風俗の呼び込みなど、20種類くらいの職業に就いては辞めての繰り返し。自分勝手に生きるだけで、世の中や社会のためになることは、ほとんどしたことがなく、世間の迷惑になるようなこともあったと思います。そんな生活を8年も続けたでしょうか。私は虚無感に苛まれ、「このままでは本当にダメになる」と感じ、でたらめな人生と決別することを自らに誓いました。26歳のときです。
まずは、まともな仕事に就く。それが最初の目標でした。幸い知人に車の鈑金業者がいたので、そこから人生を立て直すことにしました。「車関係の会社なら潰れないだろう」と思ったからです。ところが、就職して間もなく、思いも寄らぬ事態が待っていました。無責任な生活を送ってきた報いかもしれません。その後、私は6年に渡って暗黒の時代を経験することになります。
安易さが生んだ悲劇
就職した鈑金業者は中古車販売も手がける小さな会社でしたが、しっかりした仕事に就いたことのない私にとっては、毎日が勉強でした。だからこそ私は社長を信頼し、会社の資金繰りのために借金の保証人にもなりました。その社長が逃げたのです。ほどなくして債権者が私のところにやってきました。金額は400万円。私に払える額ではありません。そこで私は提案をしました。「お金は返します。ただ、そのお金を捻出するために、しばらく鈑金会社を私に任せてくれないか」と。この提案は認められましたが、本当の地獄はここから始まったのです。
当時の私は見習いの域。鈑金のことも中古車販売のこともまったくの素人です。しかし、仕事を受けなければ借金は返せません。仕方なく見よう見まねで仕事を始めますが、所詮は素人。クレームが多くて代金さえも回収できない有り様です。資金繰りがパンクするのは時間の問題でした。
この会社で思い知ったのは、キャッシュフローの大切さです。鈑金や車のことだけでなく、経営についても無知だったのは、私にとって命取りでした。
集金で完結する仕事
仕事は、対価としてのお金をもらった時点で完結します。しかし、当時の私は、それを理解していませんでした。例えば、鈑金を下請けの職人に発注した場合、鈑金工への支払いは済ませても、肝心な集金業務を怠っていました。目先の仕事を探したり、下請けへの手はずを整えることばかりに躍起になっていたからです。
「実際に仕事をこなしたのだから、いつ行ってもお金は払ってくれるだろう」。「売掛金は貯金みたいなもの」。そんな甘い考えが私の中にありました。ところが、半年後に集金に行っても、きちんと払ってくれる人はほとんどいません。集金に行ったときには、その車が事故や転売で、すでに存在していないこともままあり、そうなればお金を回収するのは絶望的です。またあるときは、約束の時間に1時間遅れただけで、「今日はもう来ないと思ったから、お金は他に回してしまった」と言われました。私は、顧客の支払い能力も把握していなかったのです。やがて回収できない売掛金は約2000万円にも膨らみました。
どんなに受注を増やしても、代金を回収できなければ会社は存続できません。
見えない出口
会社の経営が立ち行かない中、焦りもあったのでしょう。私は、詐欺事件に巻き込まれました。
ある日、一人の男性が「車を買いたい」と訪ねてきました。男性は、手付け金の10万円、実印を押したローンの申込書、本人と保証人の印鑑証明を持参していました。書類に目を通した私は、「これなら大丈夫」と思い、「試運転をさせてほしい」という男の申し出に応じました。ところが男は、試運転から帰ってきませんでした。被害額は約200万円。 後で調べてみると書類に記された住所は、反社会的組織の事務所でした。
焦げ付いた売掛金、詐欺被害などが溜まって、会社の債務はどんどん膨らんでいきます。しかし、私は後に引けず、自転車操業で仕事を続けました。気が付けば、数年間で負債は約8000万円に達していました。
目先の仕事に翻弄され、集金をおろそかにし、キャッシュフローを誤ると会社は確実に傾きます。私は身を切る思いでそのことを知りました。鈑金会社での経験は、とても悲運なものでしたが、経営者として大切なことを学び得たことは、今にして思えば収穫だったと言えるかもしれません。
会社倒産から再スタート
鈑金会社は結局6年で倒産。私は、夜逃げ同然で会社を放り出しましたが、借金は返さなければなりません。お金を借りた金融業者の中には悪質なところもあり、身の危険を感じた私は、全国を転々としながら、なんとかお金を工面して返済を続けました。記憶をたどると、当時の私は、少なくとも月に20〜30万円、多いときは月200万円もの大金を返済に充てていたと思います。
でたらめな人生と決別するために、まともな職業に就いたはずが、気が付けば多額の債務を抱えた逃亡生活。私は、何度か自殺を考えました。しかしその都度、知人の励ましに支えられ、踏みとどまりました。そして、もし次にチャンスがあるなら、「今度こそきれいな生き方をしよう」と心に誓ったものです。
倒産の翌年、チャンスは巡ってきました。世話になっていた大阪・万博自動車の社長から沼津オートオークションの中島社長を紹介され、オークションの検査員見習いとして雇ってもらえることになったのです。
検査員の仕事は週に3日。それ以外の日は、自分で車を買い取る仕事を始めました。これがオートベルの原点です。昭和59年9月のことです。
睡眠は事務所のソファで
沼津オートオークションの検査員見習いの仕事は、毎週日、月、火曜日の3日でした。当時私は三重県の鈴鹿市に住んでいたため、日曜日は朝5時に自宅を出て、そのまま沼津に2泊していました。といってもホテルに泊まるお金がないので、沼津オークションの油がべとべとに付いた古いソファで寝ていました。もちろん食事も満足にとれず、いつもお腹をへらしていて、時々オークションの社長にごちそうになっていたことを覚えています。ただ、できる限り義理を受けないようにするため、電話はオークションの事務局に月額1万円を払って、取り次いでもらっていました。 水曜日から土曜日は、鈴鹿に戻り、車の買い取りです。
この時期は、本当にお金がなくて苦労しました。例えば名刺は紙にスタンプを押して、「今、名刺をきらしてしまっているので」とごまかしたり、運転免許証の更新ができず、仕方なく自転車で仕入れに回ったこともあります。でも、足元を見られるのがいやで、自転車を遠くに停め、業者には見られないようにしていました。そんな具合で信用がなく、業者から相手にされなかったので、どうしたら良いかを考えました。そこで、車の雑誌を買って、個人買い取りに目を付けました。新幹線で和歌山まで買い取りに行ったこともあります。
このように創業時はお金も信用もなかったわけですが、だからこそ汗の中から知恵が出てくるのです。
事務所はアパートの台所
沼津で仕事をするようになってから4カ月。ある程度の努力が認められ、沼津オートオークションの中島社長から400万円を借り受けて、沼津に事務所を開設することになりました。といっても小さなアパートです。住居も兼ねていたので事務所は台所。そこで私は、車の個人売買を本格的にスタートしました。
週の前半はオークションの検査員。後半は車雑誌を頼りに、個人からの買い取りです。私が買い付けた車は沼津オークションに出品します。こうして仕事に一つの流れができました。
検査員の仕事は車の状態を見極めることです。毎週何百台もの車を見ていると、その車の修復歴や事故歴がわかるようになります。おそらくこの技能は、一般的なディーラーや中古車業者では培われない特殊なものです。少なくとも2千台以上の車を目の当たりにしなければ身に付かないスキルでしょう。 つまり私は、検査員の仕事によって大きな武器を得たことになります。
車を見る目を養いながら、私は神奈川県を中心に買い付けをしていました。中島社長が沼津で買い取りをしていたからです。これには、社長への仁義だけでなく、マーケットをだぶらせないようにする目的がありました。また、新規開拓の飛び込み営業は、地図を使ってローラー作戦を実行しました。1日に15件以上も回っていたので、数年後に不要な名刺を整理してみたら、2つのゴミ袋がいっぱいになりました。
合わせるべきときに、合わせるべき人に、合わせて通る
中島社長の仕事ぶりは見事でした。中でも私を驚かせたのは、情報管理能力です。例えば社長は、オークションに出品される車はもちろん、付き合いのある業者が保有している車の車種、年式、グレードなどをほとんど完璧に記憶していました。私が買い付けた車のことも知っていて、ある日突然、「君の持っているあの車、買いたいという人がいるから譲ってくれないか」などと言ってくるのです。私は「教えたつもりはないのになぜ知っているのか」と不思議でしたが、社長は業者の駐車場や陸送トラックの積み荷を見て、瞬時にその情報を頭にインプットしていたのです。あまりの見事さに、私は「この人についていこう」と確信しました。
合わせるべきときに、合わせるべき人に、合わせて通る。今でも会社の行動規範の一つになっているこの考え方は、暗黒から抜け出ようとしていた時期に、私が身につけたものです。そして、情報管理が強力な武器になることも同時に理解したのです。
ゼロから4年で家が買えた
沼津オートオークションの中島社長から、「休みなしで人の2倍、1日に16時間働けば、年間で6000時間になり、一般的な年間労働2000時間の3倍になる」と言われました。私は素直にそれを4年間実践しました。少なくとも年間で5000時間は働いていたと思います。昭和59年の9月から63年の9月まで、人の3倍働いたら、ゼロから4年目で家が買えました。
人の3倍働いたから、その成果として家が買えたわけではありません。当初の4年間で本当に私が得たのは信用です。働くことの信用とはすごいもので、「大内は人の3倍働いているから信用できる。金を貸すから家を新築しなさい」と、中島社長の知人で、オークションに出入りしていた一杉社長が、建築資金や工務店まで紹介してくれたのです。私と直接付き合いがないのにもかかわらず。
人の3倍働くべく、仕事の終わった早朝の4時にスタンドで給油し、同じ日の午前9時に出かけたりする日々を送っているうちに、「大内は寝ないで働いている」という噂が流れました。こうなると自分の周囲がどんどん変化していきます。努力が認められて中島社長から買い取り資金を融資してもらったり、オークションの役員に引き立ててもらったのもこの頃です。そして名刺に役員の肩書きを入れたところ、業者からの信用が厚くなり、仕入れも随分しやすくなりました。
世の中、一生懸命に働いていると、どこかで人が見ていて助けてくれます。ありがたいことです。人の何倍も頑張れば、その努力は必ず報われるのです。
商品に対する愛着心
この時期の私の仕入れ台数は週に2〜3台。だから車を徹底的に磨きました。
新車に近づけるためにはどうすれば良いのか。そこから発想して、まずエンブレムや内装のイスなど、外せるものはすべて外しました。そして、エンブレムは洗剤に浸け、その後に歯ブラシでこびりついたワックスを落とし、内装はスプレー式のクリーナーで洗浄。外装のキズはタッチペンやパテを使って仕上げ、隅々にたまった汚れも歯ブラシできれいに落とします。最後にシートにビニールを被せると、新車の状態に近づきます。
私の車は仕上がりがきれいなので人気があり、毎週完売したものです。このことは、商品に対する愛着心から生まれた成果だと思います。
日々決算を徹底
手持ちのお金が商売によってどのように増えていくのか。今、使えるお金はいくらなのか。それらをしっかり把握しておくために、私は、オートベル創業時から毎日決算をしていました。車の買い取りに要した費用はもちろん、交通費、通信費、諸雑費などを、事細かに記録し、売り上げと照らし合わせながら、連日バランスシートと損益計算書でチェックしていたのです。これを私は、日々決算と名付けました。
日々決算は、一見簡単そうに思えますが、実際にやってみると意外に複雑で、1円単位まできちんと帳尻を合わせるためには、毎日朝の5時頃まで仕事をしなければなりません。ただ、私にとって幸運だったのは、19歳のとき簿記2級の資格を取得していたことです。これは、大阪のある社長さんが、「将来商売をやるつもりなら、早い内に簿記の勉強をして、数字を読めるようになっておけ」と助言してくれたからです。
オートベル創業前の鈑金会社時代、私は、簿記の知識を持っていながら、数字の管理をしなかったという苦い経験を持っています。何せ借金からスタートした経営なので無理もありませんが、それゆえに「次にチャンスがあれば、帳簿はきっちりつけよう」と自らに誓っていたのです。
経営者には、案外数字を読めない人が大勢います。おそらく9割以上の人が読めないのではないでしょうか。その点私は、恵まれていました。1円単位までしっかり日々決算を行うことで、会社の経営状態を常に掌握できた上に、それが銀行の信用につながり、資金の融資もスムーズに運んだのです。
扉が開く瞬間
創業から1年目は、人の3倍働いてもお金がほとんど残りませんでした。「こんなに働いているのに、どうして生活が楽にならないのか。どうして成績がアップしないのか」と随分悩み、何度も仕事をやめようとしました。しかし、2年目に入って目の前が急に明るくなったのです。それは不思議な体験でした。まるで眠っていた脳細胞が目覚めたような感覚です。例えば、展示場にある車の値段を見て、「これは買えば儲かるな」と瞬時にわかるようになりました。それまで見過ごしていたことに、気づくようになったからです。結果として仕入れの業者が急に増え、利益が上がるようになりました。
人の3倍働いて努力を積み重ねていると、ある時、目の前の扉が突然開いて明るくなる瞬間がやってきます。自分でもびっくりするほど、いろいろなことが見えてきます。
能力は努力次第でいくらでも湧いてきます。それでも人間は脳細胞の2%くらいしか使っていないそうですから、人の潜在能力とはすごいものです。
自分の意志を貫く
沼津オートオークションの中島社長から事業拡大の方針が出ると、納得する役員が50%、不満に思う役員が50%でした。不満を持つ役員は辞めていきます。役員が辞めるので、アルバイトの私が役員に推薦されました。私は、信用も資産も何もない上に、飯の食い方を社長に教わったので、社長の方針が、良くても悪くても先頭を走りました。3年後には沼津オークションの筆頭役員、5年後には沼津オートオークションの関連会社、東日本の筆頭役員。二つのオークションの筆頭役員になりました(※組織上の筆頭ではありません。中島社長に、誰にも負けない気持ちでついていきました)。
ここで学んだことは、社長の方針は、うまくいくことが50%、失敗することが50%です。しかし、私の立場では社長方針に対する納得性よりも、「どうしたら社長の方針を実現できるか」の方が重要でした。つまり私は、「合わせるべきときに、合わせる」を実践し、貫いたのです。
沼津オートオークション時代に学んだこと
沼津オートオークションの中島社長から学んだものの中に、「すべての車が商品の対象になること」と「仕事のスピード」があります。当時、私は、目の前にある車は誰のものでも関係なくボンネットを開けて査定していました。そして、一度見た車は、すべて年式、グレード、金額を暗記しました。
行動の早さでも絶対に負けませんでした。「査定してよ」と連絡があったら、すぐに飛んで行き、「もう来たの」といつも相手を驚かせていました。目の前のチャンスを逃したら、二度とつかめないことを知っていたからです。また、私は話の途中でも、連絡したいことがあればその場で相手に電話を入れ、元の話が終わるときには、すべての用件を終わらせていました。後から処理をするということはありません。
すべての用事をその瞬間に判断して終わらせる。この超スピード経営術は、私がオークション時代に中島社長から学び、培ったとても大きな財産です。
ひたむきさが人生を変える
沼津オークションに出入りするようになってから3年間は、本当にがむしゃらに働きました。そこには借金を返さなければならない、家族を養わなければならないという理由だけでなく、もう肩身の狭い生き方はしたくない、社会のためになるようなきれいな生き方をしたいという思いもありました。だからこそ汚い商売は絶対にしませんでした。何よりも信用のためにオートベルの暖簾を大切にしたのです。
地獄のように苦しい生活からの脱却。そのためにがむしゃらに働く。自業自得だったとはいえ、そうした情熱や目的意識がエネルギーとなり、人生を大きく動かしたのです。
有限会社オートベル設立
沼津オークションに出入りするようになってから3年と2カ月。資本金500万円で有限会社オートベルを設立しました。昭和62年の11月のことです。これによって個人から車を買い取ってオークションに流すビジネスモデルに、買い取り専門店でお客様から買い取った車をオークションに出品するというビジネスモデルが加わりました。
なぜ、買取り店舗を始めたのか。それまでの中古車販売店の多くは、お客様を待っているとき、狭い事務所で従業員がタバコをふかし、お客様が来店しても満足な接客もしない状態でした。事務所も汚く、お客様相手の商売とはいえない有り様です。
クレームの多さにも驚きます。表面上では保証をつけていますが、修理の連絡をすると、言い訳して逃れようとする業者が少なくなかったのです。また、修理代もバラつきが多く、費用や価格に対する不信感も多い業界でした。
当時、親族が免許を取ると、「知り合いの中古車屋を紹介してほしい」とよく言われたものです。これは、知らない中古車販売店は警戒されていたからです。それだけ業界の品やイメージが悪かったのです。メーター戻し、事故車の販売、故障車両を騙して売る。まったくひどい状態でした。しかし私は、そこに買取り事業のヒントを得ました。
お客様あっての商売ということをしっかり理解し、質の高い接客をすれば、必ず勝機があると私はにらんだのです。
社名に託した思い
オートベルという社名は、自動車を意味する英語の『auto』、美しいを意味する仏語の『belle』からできています。つまり社名は、「美しい車」「良い車」という意味です。これは私が三重県で古物商の認可を受けるとき、妻の叔父さんに付けてもらったものです。
それまでの中古車販売店のイメージを払拭し、きちんとした接客のできる企業を目指す私にとって、オートベルという社名は、私の思いを代弁するものです。だからこそ有限会社を設立するときにも、躊躇なくオートベルと名乗りました。
驚異の買い取り資金5回転
商売が順調に回り出すと、車を仕入れてから販売し、そして収益になるまでのスピードが格段に上がりました。これは、少ない買い取り資金を効率よく運用するためにも大きな意味がありました。例えば、1000万円を銀行から借り受けて、車を買い取り、一週間以内にそのすべてを売却。その売上金で次の車の買い取りを行います。こうして一ヶ月に資金を5回転させ、年間で60回転、売り上げ総額で6億円をたたき出しました。この回転率とスピードは驚異的と言っていいでしょう。
スピードを上げるための地道な努力も怠りませんでした。例えば、お客様がローンで車を購入した場合、書類をローン会社に提出すれば、翌日にはその代金を現金化できるのですが、営業終了時間ぎりぎりで売れたときは、書類の提出が翌日になり、現金化はさらにその翌日になります。しかし私は、スピードを上げるため、夜であっても書類をローン会社に届けていました。ローン会社がすでに終業しているときは、書類を玄関ドアのすき間から中へ投げ入れたこともあります。
わずか1日でも無駄にしない。今日できることは明日に持ち越さない。このような考え方の積み重ねによって、当時の資金回転率が高まっていたことは、まちがいないと思います。
株式会社オートベルへ
法人化して初年度の売り上げは、5億5千万円。4年目に当たる平成3年には10億7千万円を売り上げ、資本金を1000万円に増資して株式会社になりました。この間、会社は自宅兼事務所や新車の4tキャリアカーを購入するなど、足場固めを進め、社員数も着実に増えていました。そして平成4年には、12億5千万円を売り上げ、本社前の土地を借りて洗車場(現沼津店)をオープン、資本金をさらに4000万円に増資。このように法人化から5年間の滑り出しは、おおむね順調でした。
会社というのは、あるレベルまでは、社長一人の力でどうにでもなります。オートベルもそうでした。私が沼津オークション時代に培った能力と勢いを、法人化後もそのまま利用できたことが会社の原動力になりました。ただ、その勢いを初期の従業員が上手に受けとめてくれたことは、今になって振り返ると幸運だったと思います。
実は、初期に入社した社員は、沼津界隈では伝説の悪(ワル)と呼ばれる若者達で、暴走族のリーダーなども経験していた男達でした。彼らは、社会や仕事のことは、まったく知りませんでしたが、ガッツだけは人並みはずれて持っていました。だから、毎日朝の5時から深夜近くまで、私に食らい付くように仕事をこなしたのです。
当時の私の社員教育は、スパルタ式でした。にもかかわらず彼は、それを受け止め、必死に努力しました。例えば、私が「これをやっておいて」と指示すると、彼は、「はい。でも、どうやったらいいのかわかりません」と聞いてきます。それに対して私は、「そんなことは自分で考えろ。仕事は指示された時点で、もう自分の仕事だと理解しろ」と叱咤したものです。嵐の中、びしょぬれになって凍えながら、車の引き取りに行ったこともあります。今にしてみれば徒弟制度を想わせるエピソードですが、そうした社員のエネルギーもまた、初期のオートベルを支えていたのです。
早朝5時の勉強会
創業期、オートベルは、週に一度、朝5時からファミリーレストランで朝食をとりながら勉強会をしていまた。講師は、当時の丸山博監査役です。出席者は、オートベルの全社員で、事務員さんも5時に来ました。ときには、地域の経営者も参加していた記憶もあります。早朝にファミレスでモーニングを食べながら、小さなホワイトボードを使っての勉強会は、ほかのお客様からすると異様な情景だったはずです。
丸山博元監査役は現在、神戸にある大学院の教授をしています。教授になるくらいの人ですから、勉強会の内容も専門的で、果たして当時の私たちが講義をどこまで理解していたかは微妙です。しかし、今にして思えば、朝の5時に全員が集まって勉強会を行うという行為そのものが、初期のオートベルを支えた原動力になっていたと思います。そしてその精神は、現在のオートベルにも脈々と受け継がれているはずです。
会計用パソコンをいち早く導入
業績が順調に伸びていく中、創業から9年目、法人化から数えて7年目の平成6年、会計用のパソコンを導入し、社内LANを構築しました。平成6年は、西暦1994年ですから、LANという言葉さえ社会に知られていない頃です。導入の理由は、創業時から続けてきた日々決算の考え方をシステマチックに整備したかったからです。当時はインターネットがまだ未発達だったので、自社専用のサーバも用意しなければなりませんでしたが、仕事のスピードを向上させ、なおかつ会社の経営状態をリアルタイムで把握しておくためには必要な投資でした。
ただ、この決断の背景には、私の「新しいもの好き」という性格もあると思います。今でも東急ハンズなどのホームセンターへ赴き、何か変わったものがないかを物色するのが大好きです。
社員教育の必要性を感じる
会社としてのハードウェアが整いつつある平成6年、気が付けば社員数は15人になっていました。さまざまな人が会社に出入りするようになれば、社長の意志を一人ひとりに的確に伝えることが容易ではなくなります。加えて、社員の個性がぶつかりあい、トラブルになることもあります。そこで私は、従来の徒弟制度的な考え方をやめ、しっかりした理論に基づいた社員教育を実施することにしました。これが現在、私が業界で一番と自負する社員教育の原点です。
社員教育を始めるにあたり、まず私は、全国を飛び回って、さまざまな経営指針セミナーや新入社員研修などに顔を出し、できる限りの知識を吸収することに努めました。平成7年には念願の「第一回全社一泊研修旅行」を開催するに至りました。
しかし、人の教育というものは、やはり簡単なことではありません。現在のレベルや方法が確立されるまで、実は紆余曲折を繰り返すことになります。中にはまったく想定外の出来事もありました。その意味では、オートベル古代史における社員教育は、まだ産声を上げたばかりだったのです。
ピンチをチャンスへ転化
平成7年5月6日、会社の存続を揺るがす一大事が起こりました。本社が火事で焼失してしまったのです。隣家からのもらい火だったとは言え、その約一週間前に社員研修を行い、「さあ、これからだ」というときの惨事です。何よりも重要なデータが入っているパソコンと金庫は辛うじて無事でしたが、社屋はほぼ全焼。数々の試練を乗り越えてきた私も、さすがに滅入りました。しかし、ここで諦めるわけにはいきません。
出火は午後5時、鎮火したのは午後7時。私は、そのすぐ後に全社員を集めてこう言いました。「今回の火事を、会社にとって最大のチャンスと思いなさい」と。そして社員を2つのグループに分けました。再生班と推進班です。再生班は、会社を火事の前の状態に戻すこと、推進班は、オートベル本来の仕事をしっかりこなすことを目的としました。そして、「とにかく売り上げを1円たりとも落とすな」と激を飛ばしながら、全員にノートを一冊渡し、具体的に今何をすべきかを思いつくままに書かせたのです。その甲斐あって、翌日の午前9時には電話が復旧し、定刻には営業を始められました。火事はテレビでも報道されたため、多くの野次馬が現場にやって来ましたが、着いてみると全焼の社屋の前で、もう営業を始めているのです。これには周囲も驚いたようです。幸か不幸か、一週間前に社員研修を行っていたため、全社的にピンチをチャンスへ転化させようとする意欲が瞬時に芽生えたのでしょう。火事から2日後には仮設の社屋も建ち、ほぼ通常通りの営業ができるようになっていました。
社屋は幸い火災保険に加入していました。しかし、保険会社は、「半分の金額しか補償できない」と主張しました。私は、保険担当者に、どうしたら全額保険がおりるのか、やり方を教えて下さいとお願いしました。何とか全額出してもらうことで会社の損失を最小限にとどめる努力をしたのです。その結果、見舞金も合わせて全額以上の金額が支払われ、新社屋を建て直し、ローンやリースを完済し、業績も落とさずに済んだのです。私はあなたに何をしてほしいと、きちんと相手に伝えれば道は開けます。ちなみに前年の平成6年の売り上げは、19億2000万円。火事があった平成7年は、25億円。火事の翌年にあたる平成8年は29億5000万円で、被災による売り上げダウンはまったくないどころか、かえって業績は上がりました。まさに全社挙げてピンチをチャンスへ転化させた好例となりました。
「共に勝つ」を行動指針に加えたのもこのころです。
支店展開をスタート
社屋の全焼から立ち直り、新社屋が完成すると、私の気持ちは創業時のようなやる気で満ちていました。そこで私は、かねてからの目標の一つであった支店展開をスタートさせたのです。平成8年に千葉の市原店と静岡店、平成9年に富士店、そして平成10年に沼津店と浜松店を相次いでオープンさせました。支店が増えれば必然的に社員数も急増し、平成10年の在籍社員数は35名になり、一気に8支店(浜松、西伊場、藤枝、富士宮、浜松上島、函南、清水有東坂、榛南、御殿場)を開設した平成11年には57名に達しました。
支店数に応じた人員を確保するため、私は積極的に中途採用者を募りました。ある程度の社会経験を積んだ人の方が即戦力になると考えたからです。この方策は当たり、会社の業績は支店数に比例して上昇。平成11年の売り上げは、ついに50億円に達したのです。
私は、勢いを感じていました。時流に乗るように次々と新しい支店をオープンさせ、平成13年には、静岡県内外に24店を数えるまでに至ったのです。ところがその直後、予期せぬトラブルに見舞われます。
会社分裂の火種
屏風と中小企業は、急に広げると倒れると言われます。しかし、当時の私は、そんな格言もどこ吹く風でした。案の定、会社内部に火種が生まれ、私は足元をすくわれる結果に陥りました。
火種は、社員間のトラブルです。あまりにも中途採用者に頼りすぎたため、古参の社員から不満が噴出したのです。また、「新人なのに年上」という社内の序列と実際の年齢が逆転する「ねじれ現象」によって、指揮系統もうまく機能しなくなりました。こうなると最悪です。組織が弱体化するばかりか、社員一人ひとりに会社の理念が浸透しなくなり、各人のモチベーションも下がる一方です。創業から破竹の勢いで伸び続けてきた業績が悪化するのも、時間の問題でした。結局、平成14年に100億円近い売り上げを記録していたにもかかわらず、翌年は業績が悪化しました。
私は、改めて社員教育の重要性を痛感しました。と同時に、中途採用者だけに頼らず、まっさらな新卒者を一から育てる必要性にも駆られたのです。
改善の大嵐
平成14年から15年は、オートベルにとって最も深刻な苦難の時となりました。私は、かつてお世話になった名古屋「めいらく」の日比会長にアドバイスを求めました。すると、社長はこう言ったのです。「船が沈没しそうなときは、ぐずぐずせずに重い荷物から捨てろ。軽い荷物だけ捨ててやり過ごそうとすれば船は沈むぞ」と。私は腹を決め、大なたを振るうことにしました。
まず着手したのは、会社のナンバー2から上位6人に独立を勧めることでした。6人全員が古参の役員だったため、私としては断腸の思いでしたが、めいらくの会長の言葉を肝に銘じて断行しました。ただ、会社を辞めてもらうにあたって、それぞれの独立起業を支援し、その後のバックアップも保証しました。
次の策は支店を閉めることでした。最初に赤字の7店舗を閉鎖し、その後も採算性を考慮しながら順次閉店しました。結果として最大24店あった支店を12店に縮小、必然的に従業員数も減少し、最大で180名だった社員を約半数まで減らしたのです。
改善の大なたを振るうことで、会社が抱える負担はかなり小さくなりましたが、社員の中に会社に対する不信感が芽生えたり、世間に「オートベルは倒産するかもしれない」という噂が広まったことは、ゼロから信頼を築いてきた私を滅入らせました。
利益率を見直す
古参の役員6人と社員の約半数が退職し、支店も半分まで減らしたとは言え、私は周囲から言われるほど業績の悪化を心配していませんでした。なぜなら売り上げを落としても、経常利益は、落とさない自信があったからです。
会社というのは、仮に7割の人員がいなくなったとしても、初期の売り上げダウンはせいぜい3割程度です。残りの7割の仕事を3割の人員でしのげば、一人当たりの経常利益は逆にアップします。こうした事例を私は何度も見てきました。だからこのときも、モチベーションさえ落ちなければ、会社としての利益率はかえって上がると考えていました。もちろん「ピンチをチャンスに転化しなければ」という気概があってのことですが。
今にして思えば、当時の改善策は、その後の利益率を見直す絶好の機会だったように思います。もしもあのとき、急に広げた屏風のように倒れかけていなければ、現在のオートベルはなかったかもしれません。その意味では、平成14年から15年にかけての苦難の時期は、私にとって必然だったのでしょう。
新たな敵の出現
数ある受難の中で、最も私が苦しんだのは、労働組合による争議でした。それはまだ社内に改善の余波が残っている頃です。社員にしてみれば、会社に対する不信感がくすぶっていた時期ですから、労働条件や待遇の改善を求めるのも無理はありません。しかし、このときの労働争議は、あからさまに会社を潰して、お金を奪おうとする悪質なものだったのです。つまり、会社の前途に不安を抱いた一部の社員が、私利私欲のために起こした謀反です。
争議は外部の労働組合を介して行われたため、私は、組合の首謀者が誰かわからないまま、戦わなければなりませんでした。確かなのは「首謀者が自分ではないこと」だけです。この「社員の誰も信じられない状況」ほど辛いことはありません。私は随分苦悩しましたが、やがて信頼できる役員を集め、首謀者が一体誰なのかを割り出す努力をしました。幸い、ある社員の協力で首謀者が明らかになりました。あとでわかったことですが、争議に参画していた人のほとんどが、首謀者にそそのかされていただけで、会社をつぶしてまで私利私欲を満たそうとは考えていなかったそうです。また、一方で健全な活動を標榜する第二組合も生まれ、結局争議は、首謀者が会社を去ることで決着したのです。
支店数を急激に増やすことで生まれた一連のトラブルは、その後のオートベルの運営方針を決定づける契機となりました。それは、現在の社員教育や社員の独立起業を支援する「オートベル21」などに表れています。
平成16年の大転換
平成7年、火事による焼失から本社屋を新築した頃、私は、オートベルの支店を全国に500店舗出す計画を発表しました。また、平成9年には、株式の店頭公開も検討しました。しかし、その後のトラブルによって、私は方向転換を余儀なくされました。と言うより、苦難から学んだことで、私の中に新しい発想が芽生え、会社の方針を転換させたと言う方が正しいかもしれません。いずれにしても、オートベル単体として500店舗を目指し、店頭公開する計画は削除されました。
新しい発想とは、「年間の経常利益100億円の企業を作るよりも、経常利益1000万円の会社を1000社作る方が容易」というものです。つまり、社員を育て、独立起業を促し、分社化を図れば、トータルとして経常利益100億円の企業になれると考えたのです。これが「オートベル21」の発想原点です。
「オートベル21」のシステムは、言い換えれば社長養成コースです。将来、独立起業を目指す社員を教育し、リーダーとしての能力を高め、いざ独立の際は、大々的な資金援助を行います。また、独立した社長に株式の店頭公開をする意欲があれば、その支援も行います。しかし、やはり要は人を育てることです。そこで私は、通常の社員教育とは別に「社長塾」という研修プログラムを立ち上げ、社員の意識改革に取り組んだのです。平成16年、西暦2004年のことです。
社長ブログの誕生
教育は一方的であってはならないと思います。例えば、何かの知識を身につけるとき、教えてもらうというインプットと同時に、それを発表したり、他の誰かに伝えるというアウトプットがとても大切です。つまり、教育システムにおいて、情報はインタラクティブ(相互伝達)であるべきです。そこで私は、平成16年、社員教育にインターネットのブログを用いることにしました。それによって私の考えがリアルタイムで社員に届くだけでなく、社員の声も私にリアルタイムで届くようになるからです。
現在、オートベルでは120名を超える従業員が働いています。その一人ひとりに私が直接呼びかけ、またその一人ひとりから直接返信を受けられるブログは、会社の理念を浸透させ、各人のモチベーションを高める上で、とても強力なツールになっています。
再び躍進のとき
絶好調から、奈落のそこへ。
今となっては良い思い出ですが、当事は大変な日々でした。支店展開の失敗、大規模な改革、予期せぬ労働闘争などで、これでもかと言う様な問題が次々と襲い掛かってきました。
しかし、家族の絆と、従業員の「共に勝つ」精神で、危機を乗り切ることができました。
人生は、良いことと、悪いことがスパイラル状に繰り返すようです。そして、だんだんと上向いていくような気がします。
世の中に起こること、自分に起こることは、すべて必然です。そう信じれば、ピンチは必ずチャンスへ転化できます。私は生まれてから今日に至るまでの55年間、自らの身をもってそのことを体験できました。本当にありがたいと思います。
第2章 オートベルの理念と指針
現在、私が業界で一番と自負するオートベルの社員教育制度は、幾多の苦難と失敗から生まれたものです。 しかし、だからこそ意味があり、重みがあるのです。ここに記す理念や思想哲学は、言い換えれば、私が経験してきたオートベルの歴史そのものです。
理念とは?
理念とは「物事のあるべき姿」です。そして、オートベルの理念とは、「従業者の物心両面の幸福を追求し、誠意ある商いを通じて地域社会に貢献すること」です。つまり、オートベルは、人と社会の幸せを事業の目的とする企業なのです。
行動規範5ヶ条
理念を実現させる方法論として行動規範があります。これはコアバリューと呼ばれ、理念を追求する従業者全員がとるべき行動の基本原則です。
1 夫婦仲良く親孝行
2 合わせるべきときに、合わせるべき人に、合わせて通る
3 お客様第一主義(お客様に期待を超えるメリットと感動を提供する)
4 共に勝つ(個人プレーよりチームワークを優先する)
5 創業の3精神
・スピード(常に誰よりも早く、良いと思ったことは即実行し、悪いと思っ
たことは即やめる。又、言いたいことがあれば、言いたい相手に直接伝える)
・信用(常に誠意ある商いを心がけ、利益よりも暖簾を大切にする)
・ストレッチ(常に現状の3倍の夢にチャレンジし続ける)
思想哲学の必要性
自分の持っている才能を最大限に生かすためには、2つの要素が必要です。哲学と考え方です。哲学とは、自分自身の経験などから得られた基本的な考え、人生観のことです。そして、人生の結果は次のような式で表すことができます。
人生の結果=情熱(0〜プラス10まで)×能力(0〜プラス10まで)×考え方(マイナス10〜プラス10まで)
この式のように、考え方がマイナスでは、せっかく一生懸命勉強したり努力しても、結果はマイナスになってしまいます。だから哲学と考え方が大切なのです。
7つの思想哲学
1 理念を売る
商売と、物を売る前に理念を売る。お客様に理念を支持されたら業界ナンバーワンになれる。ナンバーワンとは、オートベルでなければならないとお客様から指名されること。夜の世界でも指名が多いことをナンバーワンと呼びます。車業界で指名の多いナンバーワンを目指します。
2 ついているね
自分に起きたことは必然必要です。すべてに意味があります。どんなピンチでも自分を成長させてくれます。それなら自分に起きたことをマイナスに悩むより、プラスに現状打破を考えた方が良いです。何が起きてもうろたえないことです。高速道路の鹿だけにはならないように気をつけます。高速道路に下りた鹿は、うろたえて一番とってはいけない行動をとります。車に向かって走ってくるのです。
3 信じるな。疑うな。確かめろ。
人の話や噂は不確定要素です。自分のことだと案外これに振り回されます。疑いが強いとせっかくのチャンスを逃すことになります。疑う必要もありません。自分の足で現場に行って、手で触って、口で相手に確かめることが大事です。
4 夢をまき散らす
夢をまき散らすと氷の結晶がばらまかれて一瞬で氷ができるように夢が実現する。
5 細事に手を抜かない
徳とは細かいことに気がついて直していくこと。能力とは完成度が高いこと。
6 イエスバット法
人を思い通りに動かす魔法の言葉「そうだよ、わかるよ、わかるけどやっぱり…」と一旦味方にして、それから思い通りに動かす。
7 自分が困ったときの解決法「一番会いたくない人に会いに行く」
困ったことが起きると、特定の人を避けます。しかし、この特定の人が解決のキーマンです。悩む前に、自分が誰に会いたくないかを良く考えて、その中で一番会いたくない人に会いに行きます。多少勇気がいる行為です。自分の周りの人に相談するよりキーマンに直接会った方が即解決するものです。自分が悩むほど心配しているのに、相手は思ったほど気にしていないことがわかります。
仕事の優先順位
すべての業務は、理念を実現するための手段です。人と社会の幸福に貢献するという目的を達成するためには、仕事に優先順位を設ける必要があります。
1 クレーム処理
すべてにおいてクレーム処理を優先します。相手に会うことでクレームの80%は解決します。電話で怒鳴っていた相手も、顔を見るとそれだけで溜まっていたガスが抜けるからです。クレームが発生したときは、恐れずに相手の元へ飛んでいきましょう。
2 集金
集金の約束の時間に遅れて行ったら、「今日はもう来ないと思って他にお金を回したよ」と言われることがあります。このような相手に限って次の集金をするのが難しくなります。商いの行為は、集金によって終わります。従業者の給与も集金によって払うことができるのです。
3 業務
自分の守備範囲に責任を持ちます。今の業務は何のために行っているのかを定期的に見直します。20万円の給与をもらっている人は、1時間2000円の時給換算になります。会社が人件費と経費を払って利益を上げるためには3倍の6000円が必要です。付加価値の高い仕事ができるように、利益を生む業務にできるだけ仕事を集中します。業務改善とは、資金の回転を上げるために、距離は最短に、器にはたっぷり入るように改善を行います。
4 雑用
雑務がきちんとできて一人前です。その人がいないと職場が困るくらい貢献したいものです。
行動四原則
仕事はただやれば良いわけというではありません。理念を達成するため、常に質を向上させ、多くの人に喜ばれる仕事ぶりをする必要があります。
1 大きな声で
2 きびきび行動
3 自分から挨拶
4 スマイル
幹部三大任務
オートベルは組織によって成り立っています。理念を達成させるのも組織の力です。組織の機能を十分に発揮させるためには有能なリーダーが必要です。ゆえに人の上に立つ幹部には次の任務が要求されます。
1 理念の伝道
2 部下の良いところを引き出す
3 目標必達
第3章 ブログで社員教育
私がブログを書く目的は社員教育です。オートベルが目指している全従業者の物心両面の幸福を追求するため、私の守備範囲を皆に知ってもらうことです。私の守備範囲とは、会社を成長発展するため、潰れない仕組みと儲かる事業を探すことです。儲かる事業とは1万円儲けるための原価が低いことです。リクルートは1万円儲けるための原価が2千円です。8千円が儲けになります。オートベルは1万円儲けるための原価が8300円です。つまり1700円が儲けです。1700円から社員の給与と、金利と、広告宣伝と、採用研修費と、店の改築と、電話や電気水道消耗品などを払います。残るのは150円から200円です。
私は3年、5年後先の仕事をしています。今日の仕事をしている従業員には私の仕事は理解できないと思います。だからブログで私の行動や考えていることを皆に伝えるのです。
ブログの内容
1つめは、私の行動です。理念実現に向かって、私がどんなことをしているのか知ってもらうためです。
2つめは、新しく覚えたことです。社長が今、何に興味を持ているのかを知ってもらうためです。そして皆さんからの情報も集めたいと思っています。
3つめは、理念の解説です。理念とは、会社が目指している目的理念と、日々の行動規範にする行動理念があります。
ブログの読み方
文章そのものを読むのではなく、文章に隠された本質を見つけてください。それぞれのレベルで受け取り方は違います。皆さんが感じたこともブログに書き込んでください。これが教育です。
受け取り方に正解はない
それぞれの立場で感じ方が違います。欲求の5段階のうち、自分がどのレベルにいるかによって受け取り方が変わってきます。正解はありません。
社員へ寄せる社長の思い
この章では、日々私が感じている社員の皆さんへの思いをまとめてあります。一読すれば、それがオートベルの理念と密接に関係していることがわかるでしょう。皆さんが、理念を深く理解する上での一助となれば幸いです。
●社員の最終ゴール[05・1・2]
私は社員の皆さんの教育を次のように考えています。たとえば、22歳で入社した場合。24歳までに(2年間)見習い期間を終了。2年間は、賃金も成果給にしないで、6ヶ月ごとにいろいろな職場を体験してもらい、本当に合った仕事を見つけてもらいたいと思います。28歳までに(4年間)中堅社員として成果に見合った給与を稼いでもらい、この期間に副店長を経験、店舗のルール集に基づいて、パートのOJT、店舗運営オペレーションを覚えます。30歳までに(2年間)中堅幹部として店長を経験し、部下の育成と目標を達成することを覚え、32歳までに(2年間)幹部として執行役になり、複数店舗のチェーンオペレーションを経験。そして、33歳を過ぎたら分社の社長になってほしいと思います。欲を言うと成長期間を半分に短縮し、27歳までに社長になってほしい。それは、社長になってからが本番だからです。つまり、皆さんは60歳まで30年間、社長業をすることになります。ただし、30年間で生き残れる会社は1000社の内2社。 しかし、つぶれる会社には、つぶれる原因があります。問題を乗り越えれば30年間は皆さんは社長として生き残れます。
組織は成長の原理で動いています。社員の精神的な内的要因と、外的環境の要因、組織が成長するステージの問題です。企業は生き物です。組織の人数や売り上げ規模に応じて、やるべき課題をきちんとクリアーしなければ「時代の適応能力」が低下してつぶれます。その勉強を社長塾で行っています。30年後、1000分の2に生き残る勉強なのです。
扉が開く瞬間[05・1・2]
05会の中で、扉が開いた人が現れたそうです。おめでとうございます。この機会に、扉が開く仕組みを解説します。ある一定の量に達すると、扉が開くことは皆さんも経験していることと思います。これは、自転車の乗り方と大変関係があります。自転車の乗り方を一度覚えると何年も乗らなくても忘れることはありません。脳の中で一番強固な領域に記憶されるからです。天才の多くはこの仕組みを利用します。イチローや松井選手は、無意識の内にヒットを打っています。つまり体が覚えているのです。
この記憶は「べき乗」累積で増える性質を持っています。事故査定を2000台行うということは、2000のレベルではなく、1、2、4、8、16、32……と、2000までの累積で増えて、天文学的な数値になります。イメージ的には、富士山を絹針で100年間に砂粒一個ずつ崩して、平地になるくらいの年数です。脳はこのような仕組みになっているので、誰でも日々努力を続けていくと、爆発的に能力がアップする瞬間が必ずやってきます。毎日コツコツ営業していると、ある日いきなり電話が鳴りっぱなしになります。このようなことを扉が開く瞬間と言います。
一度金銀バッジを取得すると、継続して取得できるようになるのも、この脳の領域を活用しているからです。結論から言うと、業績が上がらないのは、努力が足りないということです。成果に結びつく行動量が足りないので扉が開かないのです。逆に言えば、あと一軒、あと一台と、ちょっとの努力で扉が開く人がたくさんいるということです。皆さんも身に覚えがないでしょうか。もう少しで扉が開く皆さん、だまされたと思って、もう一台、もう一台と苦労してみてください。来月からはそれほど苦労しなくても金バッジが取れると思います。
事故査定も同じ原理です。あるときいきなり事故が見えてきます。相場も同じです。ある日突然、相場が1000円の誤差でわかるようになります。集客も同じです。ある日突然、2倍のお客様が来るようになります。ただし、扉を開かせる、そこまでの努力は必要ですが。
●コンピテンシー(行動特性)[05・12・20]
今のオートベルの皆さんは、ほとんどが成功するタイプです。しかし、何をやってもうまくいかない人が、世の中にたくさんいます。オートベルにも過去に300名以上の社員が入社しました。うまくいかない人に共通している特徴は、私の経験からすると2つ。思い込みが激しいタイプと詰めが甘いタイプ。反対に、うまく行っている社員に共通する特徴は、素直、勉強熱心、プラス発想の3つ。このような行動の特性をコンピテンシーと言います。行動特性は残念ながら社内の教育では直りません。人格的なものです。自分の価値観をすべて変える必要があるからです。
オートベルの現在の採用基準は、「オートベルの価値観に近い人を採用する」ことです。私の経験から、採用は、営業より難しいと思います。しかし、昨年から営業トップの皆さんがリクルーターとして手伝ってくれるおかげで、何とかオートベルの行動特性に近い社員を採用できるようになりました。それだけ今残っている皆さんやこれから入社する皆さんは、優秀ということです。楽しみです。
皆さんもいろいろなサークルや部活などの組織に所属してきたと思います。気がついていると思いますが、組織は、問題のある人から辞めていくようです。優秀な人は最後まで残ります。私より皆さんの方が、良く分かっていることでしょう。私は、いつも問題児なのですぐ辞める方でした。現在は、何とか行動特性が変わったので、仕事を続けることができるようになりました
●お客様からのメール[06・1・5]
件名:頑張ってください
「昨年11月に貴社にて車を買い取っていただきました。値段がどうのと言うよりも、従業員の方の応対が良かったです。人をそらさない応対やコンプライアンスを徹底した説明に納得がいきました」。
「車にはそれぞれの思いがあります。そんな心をわかっている会社だと思いました。写真立ても良い思い出となりました。貴社のご発展を祈念しております」。
うれしいですね。オートベルの理念は「誠意ある商い」です。従業員の皆さんが、理念を実践してくれたことほどうれしいことはありません。このお客様のメールはオートベルの宝物です。
企業の利益は手段です。儲けることは会社を存続させる上で大事なことですが、もっと大事なことは、会社を存続させる意義です。何のために経営するのか、会社には目的があります。その存在目的をお客様に認めていただいたということは、社会性のある会社ということです。もっともっとお客様に喜んでいただき、地域になくてはならない存在を目指します。ありがとうございました。
自分で言うのもおかしいが、オートベルの従業員「カッコいい」と思います。子供に対して「お父さん、カッコいい」と言われる、生き方を目指したいですね。
●仕事の分類は2つ[06・2・10]
仕事の分類は2つあると思います。上から言われてする仕事か、自分が努力して方針を立て、汗を流して切り開く仕事か。
組織では昇進昇格するほど裁量が広がります。会社組織のゴールは社長です。私は、社長ほど面白い仕事はないと思います。これまで20以上の職を転々とし、どこも採用してくれなくなったので社長業を始めました。社長業は本当に楽しいです。いやな上司に気を使いながら働かなくてよいし、時間は自由だし、多少のお金の采配をふるえるし、自分の発令した方針で人が動くので「病み付き」になります。会社を潰さないという責任はありますが、まじめにやっていれば会社はつぶれません。こんなに楽しい社長業を皆さんもやれば良いと思います。
一番楽しいと思うのは、汗水を流して努力したことがすべて、自分の身につくことです。自分の運命を腕ひとつで切り開けます。社長業は最高です。この最高に楽しい社長業を皆さんに与えるシステムが「オートベル21」です。必要な資金、店舗設備、従業員は、すべて貸し与えます。儲かった利益も自分が独立するのと何ら変わりません。
自分が独立して経営した場合、1000万円利益を上げると500万円が税金で、残りは500万円です。しかし、500万円は、営業資金のため社長が自由に使うことはできません。もし200万円を社長がつかえば、残りは300万円です。この300万円は内部留保なので会社を辞めるまで一生使えません。もし、子供や奥さんへ相続するときには相続税がかかります。
オートベル21では、1000万円利益を上げると、社長へ決算賞与を150万円渡します。残り850万円の内、税金が425万円で残りが425万円です。この425万円の5%は退職金で212500円になります。つまり「オートベル21」の社長へ171万円の賞与と退職金。会社に400万円残ります。お金のリスクがまったくない条件で171万円です。しかも、ひも付きで経営するために倒産確率は10倍以上低くなります。つまり、定年まで経営でき、「自己実現」のために高額の報酬を得ることができると思います。
オートベルの社長は、最低でも3店舗の経営を目指してほしいと思います。私のような「アホ」でも社長業は務まります。オートベルの社員さんのような実力があれば20店舗以上も夢ではないと思います。20店舗経営すると、賞与が年間3000万円で給与が2000万円になります。つまり、年俸5000万円と退職金2億円です。「強烈に念じる」と10年で実現します。「自己実現」はこれくらいを目指してほしいと思います。必ず実現します。
●不満は良いことです[06・3・3]
私はいくつかの異業種の勉強会に属していますが、組織運営に満足しているところは一つもありません。どんな組織でも問題はあります。ライブドアの問題も社内の不満が原因です。私が今まで20以上の会社を辞めたのも不満が理由です。どこの会社へ行っても同じような不満があり、勤めるところがなくなったので自分で会社を起こしました。
従業員の皆さんにも、いろいろと会社に対する不満があると思います。私もありましたから、ない方がおかしいのです。会社に不満のあるのは良いことです。自分が理想を持っているからです。その理想をオートベル21の社長になって、かなえてほしいと思います。
不満というのは、理想と現実とのギャップです。不満の多い人が社長になれば、理想の会社ができると思います。不満とは自己成長の現われです。「自分が社長になったらこんな会社を作る」と皆にアピールすることが大事です。その意見に賛成した人が、オートベル21として独立したときにパートナーとして集まるからです。ただし、不満の中身がずれていると人がついてこなくなるので注意が必要です。自分のための不満か、従業員の立場に立った不満か、お客様に立った不満か、不満のレベルが大事です。お客様の立場に立った不満。その解決の方策。これが最高の大義名分の不満です。「こんなことをしているとお客様に迷惑がかかる」という不満が最高の不満です。
オートベル21で、皆さんそれぞれが、理想の会社を作ってくれることを楽しみにしています。
●人間関係で困ったら[06・3・4]
人間関係がうまくいっている人は、私のメールやブログを読む必要はまったくありません。人間関係で苦労が始まったときに読んでください。私のメールは、人の問題で困ったときの「ヒント」です。特に、オートベル21の社長になったときに役に立ちます。人をまとめるには「思想哲学」が必要です。大義名分の下に人は寄ってきます。
オートベル21の社長は2つの権限を持ちます。人事権とお金の権限です。人事権とは、採用、教育、評価です。人に関する最高権限です。お金の権限には2つあります。売り買いの値付が自由にできることと会社の経費を自由に使えることです。しかし、人事権を持つ代わりに、人に関する問題を自分がすべて解決しなければなりません。会社は人がすべてです。今までは、オートベルの傘の下にいましたが、オートベル21では、自分の器がすべてになります。人の問題で困ったときに私のメールやブログを読み直すと、どこかに「解決のヒント」があります。人とお金以外はすべて本社がバックアップします。
皆さんは、人とお金の動かし方に自信があるから社長を目指すのだと思いますが、一番大変なのが人の問題です。
●オートベル21(社内独立)の趣旨[06・3・20]
なぜ、社内独立制度を行うのか解説します。従業者の物心両面の幸福を追求し、誠意ある商いを通じて地域社会に貢献すためには、会社を潰さないで継続させる必要があります。会社の寿命は30年と言われます。寿命が30年では、新卒が入社して50歳の頃に会社がなくなってしまいます。30年以上存続し、成長発展するためにはナンバー1戦略が必要になります。ナンバー1の企業は、最後まで生き残れるからです。
ナンバー1企業になるためには、現場で意思決定のスピードを要求されます。弱者と強者は戦い方が異なるからです。強者とはナンバー1、弱者とはそれ以下です。戦う相手を、自分の組織の大きさで決めることが大事です。そのためには、権限を委譲し、意思決定のスピードを速めることが有効です。意思決定とは、生き残るために、戦う相手と、人とお金の経営資源を集中させる場所のことです。兵の小出しだけは絶対にやってはいけません。全兵力を集中させることが大事です。現場のことは現場が一番よくわかっています。現場に権限を与えることで改革のスピードをアップできます。
このように、会社を存続させ、成長させるために、お金と人事権を与えるのが「オートベル21」システムなのです。
●社長塾は戦略中心[06・7・30]
社長塾は戦略を中心に行っています。営業の皆さんの日々の活動は戦闘です。利益の元となるお客様を増やし、競合に勝って、毎日の目標を達成することが大事な仕事です。店長の仕事は、月単位の目標達成です。役員の仕事は、半期ごとの目標達成です。社長の仕事は、3年後に会社が成長するためのビジネスモデルを考えることです。社長の仕事は戦略なので見えにくいのです。しかし、社長塾に参加することによって、オートベルの戦略が見えてくるようになります。このことが、社長塾に参加するの最大のメリットだと思います。
私は、裸一貫から処世術を使って事業を拡大してきました。処世術で大事なことは、トップのそばにいることです。神様でも、そばにいる人から助けます。いやな社長でも、社長のつばきが顔にかかるぐらいの位置にいることが、昔から出世の早道なのです。社長の近くにいると、見えない戦略が他人より早く見えて、出世のチャンスをつかめます。
組織でトップになるためには、仕事はできて当たり前です。それ以外に処世術や人たらしの能力も必要です。雇われていると思っていてはなかなか難しいですが、労使は対等の立場です。雇用は契約です。職位は単なる立場です。プロサラリーマンを目指して、次はプロ経営者を目指してほしいと思います。
●社長塾[06・8・22]
今回の社長塾からケーススタディーを学ぶため、現場実習を多く取り入れています。7月にトヨタの生産方式の現場見学。8月にディズニーを超えた日本一のアミューズメントパーク「旭山動物園」。9月に20年のロングラン公演ミュージカル「キャッツ」。そしていよいよ、伝説の日本一ホテル「リッツカールトン大阪」の勉強会です。なぜ、日本一の顧客満足が達成できるのか。ほかの超一流ホテルと何が違うのか。伝説となった「日本一のサービス」。
社長塾から何回かにわたって勉強します。自分が経営者になったとき、お客様や従業員に対し、どのような理念や思想で経営すれば、日本一の会社ができるのか、組織作りに大変参考になる勉強会です。オートベルと何が違うのか、数回にわたって勉強していきます。勉強会に参加したメンバーの皆さんには「リッツカールトン大阪」に宿泊してもらい、伝説のサービスを体験することも計画しています。
自分が日本一のサービスを受けなければ、お客様に対しても同じようなサービスができません。リッツに関しては、何度か勉強会を行いますので、参加資格は、リッツの勉強会参加者に限定させていただきます。勉強しないで行っても「見えないところの仕組み」がわからないからです。お客様が感動する、伝説となっている日本一のサービスの「仕組み」を皆さんの部署に取り入れるのが目的です。
何が超一流なのか。自分が行っている仕事との比較。すばらしい勉強会になることを期待しています。参加資格は「社長になりたい」と思っている人です。
●下期社長塾[07・1・17]
下期の社長塾の目玉は、毎年倍々で成長した、ユニクロ柳井社長の愛読書「プロフェッショナルマネージャー」を勉強します。また、組織を一つの目標に向かって成果を出させるファシリテーションもまなびます。今回の塾生の中には、内定者2名、アルバイト1名、入社1ヵ月目の中途入社の新人も参加しています。
社長塾の目標は1000名の社長を育てることです。希望者は誰でも参加できます。ただし、社長を目指すことが条件です。
●新人教育カリキュラム[07・3・8]
いよいよ新人教育が始まります。私の役割は、早く立派な社会人として一人前に飯を食えるように育て、各自の自己実現のための環境を整備することです。
入社3ヶ月以内に新人社員に身につけてほしい基本は
1、「オートベル思想哲学」を身につける
2、「理念カード」の内容と使い方を身につける
3、「ランクアップノート」の使い方を身につける
4、「新入社員の常識」を身につける
5、「小売りのためのガイドブック」の内容を身につける
6、「就業規則」を身につける
7、「はがき道」を身につける
8、「マインドマップ」を身につける
9、「戦略会計」を身につける
10、「格付けシート」を身につける
11、「安全運転」を身につける
入社6ヶ月以内に新入社員に身につけてほしい業務スキルの基本は
1、新人でも出来る集客
2、新人でも出来る商談
3、新人でも出来る事故査定
4、新人でも出来る相場調べ
5、新人でも出来る評価点アップの洗車磨き
6、新人でも出来る書類揃え(※店舗のルール)
7、新人でも出来る売り先判断
入社12ヶ月以内に新入社員に期待することは、粗利120万円以上を上げるくらいの実力を身につけてほしいことです。
●複数店舗経営[07・3・19]
オートベル21で独立し、1店舗の経営をすることは簡単です。しかし、複数店舗の経営はコツがあります。
一言で表すと「ホンモノ」の人材。自分自身がどういう人間か理解していることです。複数店舗を受け持つと、厳しい決断をしなければならないことがあります。社内で不人気な立場に立つこともあり得ます。自分自身を知っていないと、自分の信じる決断ができません。自信と信念です。これがあって、初めてリーダーは大胆に決断力をふるうことができます。思想哲学が身につくと、コミュニケーションのとり方に変化が現れ、言葉が人を動かし、メッセージが心を揺さぶります。
会社の方針を守り、業績が良いのに、どういう訳か部下がついてこない人がいます。何が悪いのか。自分が汗をかかずに見せかけの行動や、陰での行動に問題があることが多いです。特に、男女間の問題は、本人たちはうまくやっているつもりでも、周りは全員知っていることが少なくありません。私にも時々匿名の投書が来たり、「2チャンネル」に書かれていることもあります。私は現場を見たわけではないので破棄していますが、リーダーは脇が甘いといけません。微塵も見せかけの部分があってはならないのです。
二つめは、ビジョンと第六感。つまり、予知能力です。市場の変化や競合企業の動きを読む能力。社員、お客様、競合など、相手の立場に立って、行動を予測することが大事です。
三つめは、自分が一番馬鹿に見えるくらいの優秀なメンバーをそろえることです(オートベルの採用基準は、社長より能力が高い人です)。イエスマンより批判を言ってくれるスタッフをそろえることです。自分より、能力の高い人は使いづらいものです。しかし、一店舗で終わるか、複数店舗を経営できるかは、批判してくれる社員の数で決まります。イエスマンばかりに囲まれていれば気持ちいいけどね。
四つめは、回復力。がんばる人ほど失敗が多いものです。しかし、ミスから学んだほうが身につきます。リーダーとしてこれが一番大事です。大失敗して立ち上がった経験が大事です。私のように、完璧なまでたたきつけられ、這い上がって来た者はいいですね。経験だと言って、わざと失敗するのは困りますが。
以上が複数店舗経営のコツです。早く3店舗以上の経営を目指してください。私が知っていることは全て教えます。正しいかどうか分かりませんが、気楽に質問してください。
●分社社長の選び方[07・3・19]
社内独立制度オートベル21の社長になるための資格はありません。ただし、面談のときに5つのチェックを行います。多少問題があっても、とりあえず社長にし、後から、社長塾や、人格形成で教育します。
1、プラス発想
見ず知らずの人と気楽に話ができ、簡単に友達になれる(社長塾の旅行でチェックしています)。行動を生きがいとし、変化を喜ぶ。朝、張り切って仕事を開始(朝礼で元気をチェック)。仕事を終えたときも元気イッパイ(社長懇親会でチェック)。疲れを知らないタフなやつ。仕事が厳しくても不平不満をこぼさない。仕事大好き人間。
2、周囲にエネルギーを吹き込む
プラス発想で、チームにやる気を吹き込み、不可能な目標を達成する。またそれを楽しむ。こういう人と一緒に働きたいと、人事に異動申請が順番待ちであふれている。仕事に対し深い知識と強い説得力を持つ。周りの人を活気付ける。仕事に集中力がある。失敗は自分のせい、手柄は皆のお陰とする。ユーモアのセンスがあって、どんなに難しい仕事でも、できないわけがないと考える。
3、決断力
やるかやらないか、決めづらい事柄に決断を下す勇気。やるのか、やらないのか決められないリーダーが一番最悪。いくら優秀でも、現場での決断は「経験」がものを言います。決断力の欠如は、組織を宙ぶらりんの状態にしてしまいます。これが致命的な欠陥となります。
4、実行力
上記3つがあれば優秀な人材です。しかし、優秀な人材と結果を出せる能力とはまったく違うのです。何かやろうとすると、抵抗勢力、組織の混乱、想定外の障壁など、いろいろな問題が出てきます。その障壁を乗り切って結果を出す。実行する力が一番大事です。
5、情熱
仕事を心から楽しむ。部下、同僚、友人の勝利も自分のことのように喜ぶ。親身に気をかける。仕事以外にスポーツ、遊び、趣味、何でも熱くなれる感性を持つ。
以上が分社の社長として私がチェックしているポイントです。足りないところは、私がカバーするか、社長塾で教育します。
●家族主義[07・4・19]
私の守備範囲は、私と私の家族、従業員と従業員の家族を守ることです。従業員の皆さんには「よい仕事」をしてもらうために働いてもらっています。家庭での心配や揉め事を会社に持ちこまなければ良いですが、人間なのでそうは行きません。必ず仕事に影響が出てきます。
人生の大半を会社で過ごします。仕事を通じて成長します。家族を幸福にするために、会社で「よい仕事」をしてほしいと思っています。子供のために学校の行事は父親が全て参加します。
オートベルが家族主義と言うより、オートベルの社員は家族主義になってほしいと思います。浮気するなんてとんでもないことです。不倫などなおさらです。不倫は家族全員が地獄のようになります。子供は一生精神的に傷ついて過ごします。私の親父が不倫していたので子供の気持ちが分かるのです。マスコミはあまり取り上げませんが、本妻と愛人の殺人事件は結構多いのです。弱い立場の方が、強い立場の相手を殺すケースが多いそうです。
問題を抱えている従業員は遠慮なく相談に来てください。相談は無料です。ただし、私は助けません。助けるだけの力もありません。助かる方法をアドバイスしますので、自分で助かってください。
社長のつぶやき
人の言葉には、その人の経験、価値観、考え方などが含まれています。それは、見ようとしなければ見えない言葉の裏側に隠されています。しかし、言葉の裏側にあるメッセージが、表面の言葉よりも重要な意味を持つこともあります。この章では、私の日々の言葉の中に存在する「私の真意」を読み取ってください。
●西武のクレーム対応[04・12・15]
昨日、私が西武デパートへワイシャツのクレームで出向いた時間が16時です。今日の18時に、同じ品物が寸法を直して宅配で自宅に届きました。つまり、通常の寸法直しは4日もかかるのに、クレーム対応は24時間です。やる気があれば24時間でお客様に届くところを4日かけています。もしも24時間で寸法直しができることをアピールすれば営業の武器になると思います。ユニクロは、その場で寸法直しをしてくれます。ただし、ズボンは物によって翌日です。ユニクロで当たり前のことが、西武は、やればできることを改善していません。この些細なことが大きな差になると思います。今回の件は、西武のクレームの対応でなく、企業が生き残るための大きなヒントになりました。お客様のために、やればできることをもう一度見直します。
●経営者の自殺[05・6・11]
毎日12名が自殺している。経営不振による自殺が年間4000名(毎日12名が自殺)。自殺未遂40000名(毎日120名が自殺未遂)。自殺予備軍40万人(毎日1200名が自殺を考えている)。どうすれば自殺予備軍から抜け出すことができるのか。皮肉なもので、事業で成功しても不幸になる人がたくさんいます。経営に失敗して自殺するならともかく、事業に成功して不幸になって自殺する。事業がうまくいって、人間性が変わって、周りの人が去っていき、暴走して取り返しのつかないことになるのかもしれません。成功するほど、心を低くするように心がけたいものです。
●今年は戌年[06・1・7]
自宅で13年くらい飼っているポメラニアンがいます。名前は「モモ」。今年は戌年です。
人間は毎年少しずつ大人になっていきます。ここで言う「大人」とは考え方のことです。人間的な成長をすると、人格や器が備わってきます。家族を持ったり、会社で大きな仕事をこなすことは、それだけ人格や器が備わっているからです。人格や器がないと、せっかく手にした家族やお金や地位を、つまらないことで手放すことになります。昔から言われる3つの行為「飲む、打つ、買う」と8つの癖性分です。「おしい、ほしい、にくい、かわい、うらみ、はらだち、よく、こうまん」です。
人格や器を少しずつ広げるには、生き方の指針が必要です。今年は戌年なので、戌年の生き方の指針をお話します。戌と言うのは忠犬ハチ公と言われるように、3日人に飼われると恩を忘れないと言われます。戌年の生き方は、3大恩人「天の恩、親の恩、恩師の恩」に対して恩返しの名人になることです。天には感謝「必然必要」の生き方。親には孝行「親の思いに合わせる」生き方。恩師の恩「学校の恩師、人生の恩師に感謝を忘れない」生き方。こうして一年間を通り抜けると、不思議に自分が成長していることに気づくかもしれません。
●脇が甘い[06・1・21]
脇が甘いとは、弱みにつけ込むこと。今回のホリエモンも脇が甘いですね。不正をするなら、パソコンやメールに証拠を残さないことです。悪党なら悪党らしく、検察庁に弱みをつけ込まれるようなやり方をしない方がいいと思います。ホリエモンは、おそらく根っからの悪党ではなかったと思いますが。
会社の弱みとは、法律違反、会社・組織の規程違反、また、人間としての倫理違反です。ホリエモンに限らず、悪いことをして弱みを握られている人は世の中に沢山いると思います。テレビのニュースで報道される企業や政治家の事件は、ほとんどが「脇が甘くて」表に出た事件です。反対に「脇を締めすぎる」と人が寄ってこなくなります。堅物の人は、魅力に欠けますから、面白くもなんともありません。
ホリエモンも、法律ぎりぎりのところでやっていたので、魅力を感じたファンが多かったのだと思います。田中角栄元総理やリクルートの創業者江副元社長なども法律違反ぎりぎりをやっていました。塀の上の修羅場を生きているので、魅力的に映るのかもしれません。
オートベルは悪いことはしません。誠意ある商いが出来ないなら会社をやめます。法律違反はしませんが、脇をしっかり締めています。脇を締めておかないと、弱みにつけ込まれるからです。誰からでしょうか。それは、税務署です。オートベルは、脱税をしません。が、税務署調査のとき、従業員の机の引き出しから小銭が500円出てきたとします。従業員に悪気はありません。弁当代の支払いのつもりで引き出しに入れていたのかもしれません。しかし、税務署はそのようにはとりません。会社にあるお金はすべて帳簿に記載されていないと大変なことになります。脱税の嫌疑をかけられます。このような、弱みにつけ込まれるようなことを「脇が甘い」と言います。
私が特に気をつけているのは、女性と同じ部屋になるときです。お客様の自宅に伺って契約書を書いてもらうときや、会社の従業員と一緒に残業などをするときなどには、必ず一定の距離をおきます。たまたま二人で残業していて、女性従業員の後ろから一緒にパソコンのデーターを説明しているときに、ほかの従業員が入ってきたらどうでしょうか。何の関係もないのに疑われるほど「脇の甘い」ことはありません。
女性一人の部屋には、お客様であっても絶対入りません。まして、ご主人がいない部屋に奥さん一人でいるときには絶対入りません。何かの拍子に奥さんがご主人の愚痴を言い出したら「最悪」です。結果は想像がつくと思います。世の中、奥さんの愚痴を聞いたため、人生を台無しにした営業マンが何人いることか。「脇が甘すぎ」ます。女性問題での噂は、既婚者にとって人生を破滅させるので特に「脇を締める」必要があります。
その次は、横領の嫌疑です。いきなり羽振りが良くなると、これもおかしな噂が流れます。日本人は特に、目立つと「やっかみ」されます。人の目なんか気にしない、とうそぶく人もいます。ホリエモンは、たぶんこのタイプだと思います。このような人に限って「脇が甘い」のです。自分が嫌疑をかけられないための「用心深さ」。自分の周りから犯罪者を出さないための「用心深さ」。女性問題とお金の問題は特に「用心深さ」が大事だと思います。
人生が絶好調のときに「脇が甘くて」地獄へ落ちる、テレビを見ていると結構いますね。
●26日のスケジュール[06・1・26]
昨日は、一日中、ほとんど車に乗りっ放しだったので、精神が高ぶって朝4時に目が覚めてしまった。
毎日8時30分にオートベル21押田社長が自宅に来る。パソコンで日経テレコン21を見せた。日経テレコン21は、過去10年くらいのすべての新聞記事、帝国バンクなど、企業情報が簡単に手に入る。画期的なのは、調べたい企業の倒産可能性が点数で分かるところ。オートベルも調べてみた。倒産確率はほとんどない。一安心。自社はもちろん、取引先や、噂の出た企業の情報を定期的に調査し、危機管理を行う。
10:30 社長診断(財務と経理)
方針を部署に落とし込んだ後、間違った方向に進まないように定期的に診断を行う。財務と経理を診断した。財務のことを新人にも分かりやすく理解できるようにパワーポイントでデータを作ることを依頼をする。
12:00 新店舗調査
新規店舗の予定地を視察。650坪。4月オープン予定。
13:00 ベンツ部品打合せ
先日私の新車のベンツが追突された。修理代80万円ぐらいの事故だが、私は病院にもいかない。追突された相手に、現場で5分間、保険会社の電話番号を聞いただけだ。私は事故で、治療代や、休業保証、車の事故落ちなどのお金を請求することはしない。車の壊れたところだけを直してもらうだけだ。首が痛ければ、自分の健康保険を使う。階段から落ちて怪我したと言う。交通事故保険の治療代は普通の3倍高い。なぜ高いか分からないがとにかく高い。ベンツも事故落ちで150万円くらいの損である。でもそんなことは請求しない。なぜ、追突されて、治療代、慰謝料、休業補償、事故落ちを請求しないかと言うと、私が今まで、事故を起こした相手にいじめられたからである。自分がいやな思いをしたので、自分が事故をされたときは、相手にいやな思いをさせないと決めている。疑うなら事故のときに運転していた市岡君に確かめたらよい。ただし、鈑金屋に対してはうるさいので嫌がられる。修理の仕上がりは一歩も譲らない。私はこれで飯を食っているから当然だ。
13:30 社長診断(企画)
月集客1200組の検討。ネット広告1ヶ月50万回から100万回と2倍にする。車検、保険の継続忘れDM。コールセンターを使って集客強化。
15:00 朝日テレビから電話あり
朝日テレビの伊藤さんから、特番を作るという出演依頼。異業種の集まりで共同求人委員長をしている。その関係でマスコミに出ることが年に20回ぐらいある。私の名前は年に5回ぐらいしか出ない。ほとんどがコーディネーターで表に出ないが今回は出演依頼である。協力はするがたぶん断る。(オヤジの遺言を家訓にした「地味に、謙虚に、正しく」を思い出した)
17:00 榛南支店改装
榛南店の改装をしている。吹き抜けの天井の高さは10メートル。事務所の壁を取って広さを2倍に。外壁を取ってガラスをはめ込み明るさも2倍に。隣の駐車場を300坪借りたので駐車場も3倍の広さに。コンセプトは「ディズニー」。吹き抜け天井に梁があるので、その梁にディズニーのキャラクターを座らせてスポットを当てたら楽しくなると思う。
21:00 就職相談
友人の子供の就職相談。私に出来ることなら何でもお手伝いします。と答えた。
22:30 夕食
今日の夕食は豪華だ。食材の半分以上はもらい物。私は、ほしいと言ったことはないが、何でも貰うたびに「大喜び」するので、皆がくれる。豪華と言っても、大根煮付け、大根おろし、のり、かぼちゃのスープ、トン汁、いくら、松前漬け。粗食の私にとっては豪華だ。訪問した人が、私の質素なおかずにびっくりする。
先日田舎に帰ったときは、母親が「これもっていくか?」ときくので「はい。はい」と答え続けたら、とうとう、貰ったものが重くて持てず、旅行かばんを借りてきた。「くれるものは、どんなものでも断らない」ことが物が集まるコツのようだ。自分が嫌いな物でも喜んでもらう。それを人にあげる、その人からもらう、このくり返しで食べ物はいつももらい物で一杯だ。私は物ではなく、相手の「心」をもらうように心掛けている。
●破れ窓理論[06・1・27]
昨年ニューヨークへ行ってきた。
現在のニューヨークは世界一治安が良い。「破れ窓理論」の対策により、犯罪が激減したそうだ。破れ窓理論(Broken Windows Theory)」は、地域住民の安心感と警察への親近感を醸成することを目的として警察官の徒歩によるパトロールを実施した米国ニュージャージー州の取組みをきっかけとして、1982年に米国で提唱された理論である。この理論は、従来では軽微な犯罪とされていた行為(公共空間での落書き、酔っ払い、物乞い等)であっても、それがコミュニティの利益を大きく侵害するものであるならば、警察やコミュニティは真剣に考え、対策を講じなければならないとするものである。例えば、窓ガラスの損壊は、軽微な事犯であり、初犯であることも多いため、厳しい処罰がなされることはあまりないが、壊れた窓が放置されていれば、そのビルには管理が行き届いていないことが明らかになる。他人の管理下にない財産はいたずらや犯罪の格好の餌食になり、瞬く間にビル全体、さらに地域全体が崩壊していく。「破れ窓」とは崩壊するコミュニティの比喩であり、破れ窓理論は、こうした悪循環に陥る前に警察とコミュニティが適切な対策を講じるべきだと主張するものである。会社経営にも「破れ窓理論」を応用して、改善できるところは、たくさんあると思う。
隣地の中古家を購入した。窓も改装する予定だが、割れているガラスをすぐ交換した。社員の心を荒れさせないために。
●我以外、皆我師[06・2・11]
超頑固者の私ですが、10年前にこの言葉に出会って運命がよくなりました。吉川英治の宮本武蔵に出てきた言葉かどうか忘れましたが、私の「座右の銘」の一つです。ところで昨年から私の言葉使いを変えました。社外のある23歳の女性から「否定的な言葉は決め付けないようにして下さい」とアドバイスを受けたからです。過去に私から去っていった人たちに共通して言われたことは「決め付ける」でした。研修などで、曖昧な言葉を使わないような訓練をしてきたのでそれが正しいと思っていました。
私は、女性にまったくもてません。どちらかというと嫌われます。女性にあなたは「決め付ける」といわれ続けていましたが、自分の自覚がまったくありませんでした。昨年、私の言葉使いの問題を具体的に指摘してもらいました。そこで私のメールや、ブログの書き方も変えました。今までは、「こうだから、皆さんも、こうしてください」と決め付け言葉や、決め付けた文章を書いていましたが、今では「私はこのように思います。皆さんはいかがでしょうか」「このようにしたほうがよいと思います」「あなたは、どうしたいのですか」と表現します。つまり、決定権を相手に与えました。今までは、自分の考えを押し付けていました。昨年から、決定権はあなた自身ですよ。どうしますか?に変えましたわけです。まだまだ勉強中ですが、努力しています。大事なことは「自分より年下でも、自分が成長できることは素直に受け入れること」だと思います。我以外、皆我師の実践です。
昨夜、中途採用のホームページの訂正を、外注の方にお願いしました。そのときの会話です。
大内「もしもし、オートベルの大内です。今よろしいですか」
相手「はい、どうぞ」
大内「中途採用ページの変更を2つお願いします」
相手「わかりました」
大内「中途採用ページ見てもらえますか」
相手「トップページを見ても見当たりませんね」
大内「探しにくいでしょう」
相手「そうですね」
大内「任せますので、探しやすいようにお願いします」※これが私の要望です。
相手「わかりました」
大内「どうしたらよいと思いますか」
相手「・・・したほうがよいと思います」
大内「それは良い考えですね。お願いします。いつ頃できますか」
相手「水曜までにできます」
大内「できたら連絡お願いします」
相手「わかりました」
これだけの依頼をするには、普通は、先方と会って、画面を見ながら、2時間は打ち合わせが必要です。私は、自分の希望を伝えて、相手の考えを引きだして、電話で1分です。方向を伝えれば細かいことは任せます。決め付ける指示を出すと、相手の選択範囲が狭まって「つど、連絡」が入ります。「やらされ感から、自主的参加」にすることが大事ではないかと思います。
●勉強する目的は「やり方」方法を学ぶこと[06・3・3]
上の地位についたとき「何をどうすればわからない」と思うことがあります。これは、情報が枯れてきていることだと思います。だから情報を枯らさないために勉強をするのです。
新人は営業の勉強、営業は副店長の勉強、副店長は店長の勉強、店長は経営の勉強、社長になってもチェーンオペレーションの勉強や戦略の勉強、いくらでも勉強することがあります。自分の立場で、与えられた研修課題はすべて、自分を成長させるために会社が組んだカリキュラムです。短期間で一人前になって、10年以内に社長の勉強ができる。すばらしいことです。社長になれば30年以上自由に経営ができ、自分の実力で拡大できます。もし、失敗しても今まで蓄積した、自分の財産がなくなるリスクはありません。こんなすばらしい制度は、日本中探してもないと思います。
勉強の方法は、歴史の本を読むのが一番よい方法です。歴史に学ぶことが「ヒント」になります。偉人伝もよいです。私は「エジソン」が好きです。そのせいかエジソンも創業者の一人である世界ナンバー1企業GEが大好きです。
社長を目指すには最低月に「4冊」ぐらいは読みたいものです。私は、情報誌も合わせると30冊〜50冊以上は「速読」しています。セミナーや研修にも「最低月間3回」は出ています。これでも、今のオートベルの組織経営をするには、少ないくらいです。
●男の3大失敗要素[06・3・10]
私は今年54歳になります。17歳のときから働いていますが、38年間の社会人経験で、多くの失敗した人を見てきました。どうも酒と、女と、お金の失敗が多いようです。酒、女性問題、お金の問題が、人生失敗の3大要素かもしれません。平社員のときには、余裕も権限もないので、心配ありません。しかし、地位が上がり、多少の権限を持ったときに、この3つの失敗要因が生じるようです。もっと、面白いのは、周りの成功者が、この3つで失敗し、消えていくので、自分にチャンスが回ってくることです。
これから、社内独立で社長を増やします。私が心配しているのは、せっかくつかんだチャンスを、調子に乗ってこの3つの失敗で失うことです。
酒の失敗と言えば、私の義弟は、飲酒運転で同乗者を死亡させ、現在刑務所に3年間の服役中です。残された家族は悲惨です。仕事帰りに酒を飲んで、会社の同僚を送る途中で飲酒事故を起こしました。昨年から法律が厳しくなったので、今なら懲役20年から30年のようです。老人になるまで刑務所から出られません。
女性問題は、独身なら結構なことです。しかし、妻子がいるのに、ほかの女性の心をもてあそぶことはいけません。女性問題は2通りあります。だます方と、だまされている方です。だます方は、一緒になる気もないのに、奥さんと別れて一緒になると言って、相手の気持ちを「もてあそぶ」ことです。これは、最悪、刃傷沙汰になるか、無理心中です。だまされる方はもっといけません。人生まじめに生きてきて、40過ぎてから女性にぼけたのは、直りません。まじめな初老ほどだましやすい人種はいないと思います。私だって、若い女性から、嘘でも言い寄られたら、すべて貢ぐかもしれません。人生最後の青春を、絶対に手放したくないと思うのでしょう。そして何でも女性の言うことを聞くと思います。最後は、会社の金を使い込んで刑務所行きです。
お金の失敗は、女性に貢ぐ以外に、公私混同があります。自分の仕事がうまくいくと、どうしても経費の使い方が甘くなります。その内、会社の経費と自分のお金を混同するようになります。地位が上になり、お金を使う権限が大きくなるほど、お金の公私混同にけじめをつける必要があります。私の経費の使い方を経理に聞いてもらえばわかりますが、会社が良くなるほど、私は、だんだん経費を減らしています。
●自殺はあてつけ[06・3・19]
北九州市で16日に自宅で首をつって自殺していた小学5年生の男子児童が見つかりました。学校側によると、この児童は去年の夏頃から、授業中の態度などをめぐって、担任の教師からたびたび注意されるなど、折り合いが悪く、家族と担任で対策を話し合っていたということです。
この年になると、私の周りでも5名以上は自殺しています。年間3万5千人が自殺しています。私は54歳だから、日本の人口1億2千万人のうち、54年間で190万人が自殺、つまり、私の知人の60名に一人は自殺している計算です。私の経験と、周りで死んでいった人を見るとと、自殺するのは「誰かに対してのあてつけ」のような気がします。会社が倒産して自殺する人は、借金苦と報道されますが、人間は苦しくても自殺はしません。苦しくて自殺するなら、運動選手やスポーツジムで鍛える人は皆自殺します。
借金苦で自殺する人は、誰に対してのあてつけでしょうか。高利貸へのあてつけ。お金を貸してくれなかった、友人、知人、親戚へのあてつけ。逃げていった奥さんや、子供たちへのあてつけ。集団での自殺者も増えています。世の中へのあてつけ。自分を認めてくれなかった家族や、社会へのあてつけ。失恋して自殺する人は、恋人へのあてつけ。別れ話の最中に、道頓堀に飛び込んだ女の子がいました。朝まで二人で飲んでいて、明け方帰りに別れ話が始まり、川に飛び込んだのです。本人は、死ぬ気はなかったと思いますが、運悪くヘドロの中へもぐって浮かび上がらずそのまま死にました。
出て行けといわれたその夜に自殺した人がいましたが、これもあてつけの気がします。保証人になって、お金が返せずに首をつった人もいました。これは、完璧に依頼人へのあてつけです。本人は、死ぬ気まではなくて、誰かが助けてくれると、多少なりとも期待するところがあると思います。
交通事故より自殺者の方が多いのは非常に危険な世の中になってきていると思います。生きる希望を失わないために、夢や、強い精神を作る必要があると思います。その証拠に、死ぬ前に連絡してきたりすることもあります。はずみで自殺するのは気の毒です。
●愛人禁止[06・4・18]
私は、父親に愛人がいたために、子供のころから精神的苦痛を味わってきました。皆さんの子供達に私と同じ苦痛(惨めさ)を味わってほしくありません。独身なら、多少遊ぶのも経験です。しかし、家庭持ちで愛人は非常にまずいです。愛人のケースは最悪になるケースが多いので「リスク管理」でうるさく皆さんにお願いします。また、下ネタは、一番かっこ悪いです。「周りから笑われます」それだけ皆の興味があるのです。人の不幸は蜜の味。愛人がいると、いつか必ず破滅します。周りの人は愛人関係を知っていますが、本人たちに注意しません。破滅するのを、楽しみに眺めています。これが一番始末の悪いことなのです。
親に特定の愛人がいると私の経験で家族がどのような道をたどるのか。これは最悪のケースですが、
1、子供が男なら犯罪者
2、子供が女性なら売春
3、奥さんは自殺
4、本人は別れ話で愛人に殺されるか、会社の金を使い込む
極端かもしれませんが、最悪は、このケースです。私も、母親の思いつめた様子を見て、弟と愛人を殺そうと思ったことがあります。創業当時私と一緒にやっていた島津さんや従業員の金沢君。子供の同級生の昨年愛人に殺された親。すべて、仕事は順調だったのに、愛人を作って人生コケマシタ。
お金を出して遊ぶのは、自分だけの問題ですが、愛人は家族を巻き込みます。私の経験で悲惨なのが、結婚前に興信所の調べて、親に愛人がいたために婚約破棄の例です。子供たちの人生のために愛人だけは絶対にやめてほしいと思います。
●社長塾[06・7・11]
第四期社長塾も来週は5回だ。
初回は、オートベル研修所で、オリエンテーションから始まった。
2回目は、清水テルサで戦略の勉強だ。
3回目は、浜松で旭山動物園の顧客満足の勉強をした。
4回目は、本部で社長として必要なスキルと考え方を勉強した。
5回目は、トヨタ生産方式の工場見学会を行う。
今期の見学会は、旭山動物園や、ミュージカル「キャッツ」、大阪リッツカールトンなどの顧客満足の高い企業を訪問し、レベルの高いノウハウも取得したいと思っている。
●見返りを期待しない[06・7・30]
上司は部下の見返りを期待しないで出すばかりです。部下の見返りを期待して行うなら、はじめからやらないことです。このことは、経営者になるとき、私の師匠から教えてもらったことです。
人は、自分の言うことを聞かない。自分の思い通りには動かない。と思うことが大事です。上司の心得として大事なことは「あいつに、あれだけしてあげたのに」と思わないことです。上司から部下へあげるのはいくらあげても良いですが、部下からものはもらわない。上司は、部下につくすだけ。
私は、数組の仲人を引き受けましたが、お礼をもらわないことを条件で引き受けています。引き出物はお祝い事なのでいただきますが、仲人のお礼はもらいません。このルールがあるため、仲人を引き受けると貧乏するので、現在はすべてお断りしています。
●部下は上司の真似をする[06・7・30]
性格の良い人には、良い人が集まり、性格の悪い人には、悪い人が集まります。私は元々性格が悪いです。不満と不足をいつも言っています。しかし、「社員には不満を言うな」「もっと良い性格になれ」と言ってきました。そして、できるだけ良い性格の社員を採用します。残念ながらすぐに私の悪い性格を真似します。社員に対する不満が出ます。それを38歳まで続けてきました。
あるとき気がつきました。社員が私の真似をしていることに。それから、考え方を変えました。不満や不足をできるだけ言わないように努力しました。いまでは、立派な社員が増えました。
これから社長を目指す皆さんや店長の皆さんへ。部下は、皆さんの真似をします。部下の悪いことが目についたら自分を反省します。自分が変われば相手も変わります。では、どのように変わればよいのか?私が日頃から気をつけていることは8つあります。
1、人のために、ものや体やお金の出し惜しみをしない。ボランティアの精神。頼まれごとは断らない。
2、何でも、ものをほしがらない。我慢の精神。ちょっと辛抱。※私にとってこれが一番つらいです。
3、人を憎まない。原因は自分にありと、自分を反省する
4、自分や部下、子供を偏愛(かたよったかわいがり方)をしない。しつけるときには厳しくしつける。※入社2年間。社員を分け隔てしないで、立派に育てる。
5、人をうらまない。うらみは水に流し、恩は石に刻む精神。
6、腹立ちを抑える。器の大きさ。人を許せる心を作る。
7、欲を抑える。自分の欲望に勝つ。
8、高慢。人を見下さない。どんな立場の人でも、子供でも、一人の人間として公平にあつかう。
できの悪かった私なので、なかなかできませんが、日々反省の毎日です。しかし、立派な社長になろうと努力しています。これが大事なことだと思います。
●価値観[06・11・3]
私と私の奥さんは十歳離れています。価値観を共有できるのは十歳までが限度のようです。会社でも同じことが言えます。人生の価値観を共有できるのは十歳以内だと思います。歳の離れた社員に伝えるには真ん中に通訳を入れます。部下とカラオケに行って、一緒に歌えれば問題ありませんが、歌えない曲が多いと要注意です。自分が部下の歌を理解できないくらい、部下も上司の価値観を理解していません。ちなみに私が小学校の頃、普通の家庭になかったものは、電話機、自家用車、風呂、扇風機(エアコンではありません)、掃除機、冷蔵庫、洗濯機などです。戦争で破壊され、大正時代に毛がはえたような時代です。走っているトラックは三輪車です。ハンドルはオートバイのような物がついていました。ウインカーはなく、手で合図を出していました。セルもなくフロントグリルからクランクの鉄バイプを突っ込んで手で回してエンジンをかけていました。当時の流行曲は、古賀正男、五月みどり、橋幸男、船木一夫など。私は今でもこれらの歌手の歌を歌います。そんな時代に育った私の価値観を若い人たちに理解させることは難しいと思います。そこで中間に、十歳前後の優秀な役員の通訳を入れるのです。
●成人とは[06・11・7]
昨日富士店店長に次女が生まれました。おめでとうございます。これから、成人するまでお子さんを育てなければなりません。会社も入社した社員を一人前になるまで育てます。一人前とは成人することです。成人とは「親の歩みに近づくこと」です。上司の思いに近づけるように教育します。
親や上司が、どのような思いで子供や部下を育てるのか。この思いに近づくことが「成人」と言うようです。いつまでも親や上司の気持ちがわからない人を「ガキ」と言うようです。自分が親の立場や上司の立場になると始めて親の気持ちがわかるようです。しかし、残念ながらそのときはもう遅いと思います。私の30年の社長業の経験や歴史を振り返ると、自分が親や上司にとってきた態度が部下や子供から7倍になってかえって来るようです。
昔、あるやくざが、俺は日本一の子分になる。と日本一の子分を目指していたら、日本一の親分になった話を聞いたことがあります。38歳からこの原理を知って、当時の社長に徹底して合わせてきました。どんな理不尽を言われようが、率先して社長に合わせてきました。多くの人が離れていきました。私だけは、社長に合わせながら残りました。おかげさまで、社長の信頼を受け、独立するときは、全面的に社長からバックアップしてもらいました。20年前に2億の保証人になってもらい、現在のオートベルの基盤を築いたのです。2億円の保証人になってもらう信頼は並大抵ではありません。徹底して「社長の思い」に合わせてきたからです。社長に仕えたとき、「ノー」「できません」という言葉を一切使わないように努力してきました。できる方法だけを考えてきました。月間40台くらいの実力にもかかわらず、「1週間に40台集めろ」と言われたこともあります。いきなり4倍です。皆でどうしたら4倍にできるか話し合いを重ね、できる方法を工夫し、短期間で業績を4倍にすることができました。どんなことを言われても「自分にとって必要」なことだと考えれば、物事は好転するという経験をしました。
●専門家になるな[06・11・21]
電信柱の専門家は電信柱のことは詳しいが、他のことは目に入らない。だから専門家になってはいけません。専門家になると、自分の専門は目に入りますが、そのほかの気づきが薄くなります。その結果、人間関係のトラブルを起こしたり、自分の周りで起きている問題に気がつかなくなります。
社会生活を送るには、幅広い教養が大切です。自分の専門分野以外の勉強です。読書や、趣味、観劇なども良いと思います。人の集まる大型マグネット施設やデパートで地下から最上階まで、流行を観察することも大事です。私は流行を追います。そこには生活者のほしがるものがあるからです。一流の仕事人になるための努力はしています。また、専門家にならない努力もしています。
●教育指針[06・11・25]
薩摩藩にはイギリスで創られたボーイスカウトの原点「郷中(ごじゅう)教育」という制度があります。地区の子供たちを年齢別に組織化して心身教育を行います。育成方針は、「負けるな」「ウソをつくな」「弱いものをいじめるな」です。この教育方針が明治維新の原動力になったような気がします。今の教育も、この3つの方針を取り入れれば「いじめ」は減るような気がします。
私はこの3つの行動指針が好きです。「負けるな」「ウソをつくな」「弱いものをいじめるな」。皆さんの中にも気に入った人がいれば自部署の指針や家訓に加えてみたらいかがでしょうか。お子さんの教育指針には最高だと思います。ちなみに私が作った「大内家家訓」は、「地味に、謙虚に、正しく」です。
●兵法:鬼谷子[06・12・24]
会社が倒産して無一文になったときに勉強したのが「兵法:鬼谷子」です。会社が倒産して残ったのは「借金」だけ。
どうやって倒産から再起するか。私は、良い方法を探していました。再起したい「強い想念」が、本屋で「鬼谷子」を目に留めたのです。その時「陽明学」の本も見つけましたが、当時の私の立場としては「鬼谷子」の方がぴったりでした。鬼谷子とは、中国の戦国時代に活躍した遊説の士・蘇秦が、実行した外交、謀略の結果について考えたことを整理記述したものです。蘇秦とは遊説家で、秦の恵王を訪れたものの、登用してもらえず、燕の文侯のもとを訪れて合従策を説きました。合従策とは、燕・趙・韓・魏・斉・楚の6ヶ国が南北に連合して秦に対抗しようとする政策です。遊説家とは、内政や外交について、自説を各地の諸侯に説いて回る人々です。
元手は舌だけ。お金はもちろん、寝るところもない私にとっては最高の教科書となりました。鬼谷子は、開閉・反応・内 ・虚隙・飛箝・反合・揣・摩・権・謀・決・附言の12編と、本経陰符7編、持枢・中経の2編からなっています。学者ではないので、難しい勉強はわかりません。無一文が、舌先だけでどうやって生きていくのか必死でした。もし、この本と出合っていなければ、人生をやり直すことはできなかったと思います。
●徳(器量)とは[06・12・27]
組織はトップの器(徳)次第と言います。家庭でも同じことが言えると思います。家長の器で家庭の納まりが決まってくるようです。ご主人が奥さんを大事にする家庭は納まりが良いですね。また、奥さんがご主人を立てる家庭も納まりがいいようです。しかし、ご主人が威張って、奥さんが子供に愚痴を言う家庭も結構多いようです。子供の立場として、居心地の悪い家庭は納まりにくいと思います。夫婦喧嘩が一番いけないですね。
残念ながら、好き同士で一緒になった夫婦でも、慣れてくるとお互いにわがままが出るようです。付き合っている内は、猫をかぶっていますが、結婚して慣れると癖性分が出るようです。育った環境が異なる二人が、一緒に暮らし、手のかかる子供ができれば、精神的な負担も大きくなります。お互いが、助け合う精神が大事ですが、そんなことは誰も教えてくれません。人は追い詰められると、癖性分が出ます。このように精神的な勉強をしていると、精神的に追い詰められたとき、「冷静に客観的」な判断ができます。
奥さんが精神的に限界に達すると、逃げるご主人が多いようです。ご主人も奥さんも相手を思いやり、「ひくい、やさしい、やわらかい」の心で接することが、家庭を円満にする方法ではないでしょうか。
夫婦喧嘩は絶対しないことです。子供も絶対に叱ってはいけません。彼女と付き合って、喧嘩はいけません。私は、子供を叱らない主義です。叱ったことがありません。人と争いもしません。人と争うより、敵を味方にすることを考えて行動します。敵にするといろいろなものが減りますが、味方にするといろいろ増えます。
なぜ彼女と喧嘩になるのか、その原因を分析すると「人を動かすコツ」がわかります。相手に合わせていれば、喧嘩をしなくて済むと思います。「合わせるべきときに、合わせるべき人に、合わせて通る」を実行してみてください。今までとまったく異なる人生を体験できるでしょう。
●成人式[07・1・10]
新聞で成人式の荒れ模様が報道されています。しかし、よく考えると、荒れている成人は0・1%にも満たないと思います。残りの99・9%はまじめだということです。マスコミで荒れている成人のニュースだけ見ていると錯覚します。その裏に隠されている事実(今年の成人はまじめだ)の本質を読み取ることが大事です。成人の50%以上が荒れていれば、ニュースにならないからです。ニュースの裏に隠されている本質を読み取れるように気をつけたいものです。
●人生の節[07・1・10]
人生には、良いことや悪いことなどの「節」が必ず来るようです。ありがたいことに、今の私は絶好調です。業績が特別に良いと言うことではありません。従業員が皆良い子なので、問題を起こさなくなったことです。つまり、安心して日々を送っています。
依頼された数社の「企業再生」のアドバイスも何とかうまくいっています。宅建の免許も下りて、社員に不動産を持ってもらうための物件情報集めもうまくいっています。隣地も買って本社拡張のめども立ちました。大型店舗の契約や社内独立のプロジェクトも進んでいます。昨日、「就職毎コミ」のホームページアクセス、人気企業で静岡県一番になったようです。
毎日、従業員とお客様に、感謝の日々を送らせていただいています。しかし、人生の節は必ず来るようです。こんなに最高の日々が続くとは思っていません。常に、誰かに不義理していないか。お客様と問題を起こしていないか。気の小さな私は「良いときほどビクビク」しています。おかしな話ですが本当です。経営や人生は、トラブルが起きて当たり前と思っています。節が来たときに「うろたえない」で対処できるための「精神」を作り上げています。
●地位が人を育てる[07・1・10]
能力があってやる気のない人には地位をあげてます。今は、多少なりとも組織になっているので、私の一言で人事はできませんが、創業当時は「呼称」をどんどんあげました。「部長、次長、課長、主任」など。呼称はあげてもただです。部長の呼称をあげると、まっ先にすることは「名刺」を作ることです。不思議なもので、三ヶ月もすると部長らしくなってきます。部下でも入ると、言葉づかいも変わってきます。人は、地位で仕事をするもんだなと感じます。時々、多少の例外もありますが。
私は、一人で仕事をしていたころは、飲む、打つ、買うでした。社員が一人入って、社長と呼ばれるようになると、買うのをやめました。5年前に会社が倒産の危機になると、飲むのをやめました。打つは、弱いので、ジャンケンポンもやりません。辞退します。人間は、地位や自覚ができると自然に育つようです。
●予防と治療[07・1・10]
人間は、予防より治療が好きなようです。問題が起きてから対処するより、問題が起きる前に予防してほしいのですが。過去の経験で、50人いると一人はトラブルを起こすようです。100人いると二人問題を起こします。社員旅行では、A班とB班50名ずつに分けて出発しました。両班とも一人ずつ遅れてきて、自分の車で空港に向かいました。100名の忘年会では2名欠席です。過去の経験から、組織運営上の予防を前もって発令しますが、効果が薄いようです。つまり、予防する人は言われなくてもするし、しない人は、いくら言ってもやらないようです。
●売上アップ[07・1・12]
昼どきにドトールコーヒーに入りました。注文するため、レジ前に並び、順番が来るまで商品を眺めながら、何を食べようかと考えました。「たまにはケーキでも食べたいな。今日の昼めしは、モンブランにするか」と思っていました。順番が来て「ご注文は?」と聞かれたのでコーヒーと答えました。するとスタッフは、いきなり後ろを向いてSサイズのカップにコーヒーを注ぎ出しました。180円です。私はコーヒーが好きなので、本当はLサイズを飲みたかったのですが、気が小さいために「換えてください」と言う勇気はありません。さらに「ケーキもください」と言うタイミングもはずし、熱いカップで火傷しそうになってツイテマシタ。私が責任者なら、この店の売上をあげることは簡単です。まず、お客様の希望を丁寧に聞きます。サイズの確認をします。最後に、お客様の要望が全て満たされたかを確認します。「注文はこれでよろしいですか」と。たったこれだけで売上をあげることは可能です。気付かせてもらったので、ついてました。
●チャンス[07・2・3]
目の前のチャンスを逃したら二度とつかめないと思います。私も人生経験で数回のチャンスを見逃しています。後悔してもチャンスは戻ってきませんが、原因は「精神的な未熟さ」だと思います。もっと勉強をして、世の中のことがわかっていたら、今までのチャンスをものにしていたかもしれません。最近多少勉強してきたので目の前のチャンスをつかみ取ることができるようです。私自身は何も変わっていませんが、精神的に大人の考えになってきたので、今まで見送ってきたチャンスを確実にものにしています。
●他人は見かけで判断する[07・2・16]
私の些細な贅沢は、毎日クリーニングに出したシャツを着ることです。55歳の私は、大企業なら定年です。54歳にして、やっと毎日クリーニングに出したシャツを着れるようになりました。それまでは、記憶繊維のシャツを毎日自宅で洗濯していました。毎日クリーニング出すためには20枚以上のシャツが必要です。頻繁に洗濯するには丈夫なシャツです。55歳の親父が、一枚15000円以上のシャツを20枚以上買うのは、結構大変な決断が必要です。
「一点豪華主義」。私が好きな言葉です。自分だけの満足がそこにはあります。他人はわかりません。しかし、見えないところの優越感が、仕事上の自信となります。私は、酒もタバコもやりません。酒タバコの生涯金額を複利計算すると、約2000万円ぐらいになります。その分、一点豪華主義を増やせます。
仕事の武器は一流を持つことです。能力の差は武器でカバーできます。また、他人は見かけで90%判断します。初めて会った印象で、勝手に判断します。糊のきいたワイシャツも悪くはありません。
現在新しい仕事を始めています。毎日新しい人と会います。大きなお金が動きます。相手に信用してもらうためには見かけが大事です。詐欺師がびしっとしているのはこのためです。見かけで安心させています。良いことは、詐欺師からでも見習います。お客様を安心させるのに時間がかかっては競合に負けてしまいます。
30年かかって、生活の負担なく、新しいシャツをビジネスの武器にすることができました。自分の満足感の方が大きいと思いますが、仕事の自信につながればそれでいいと思います。
●レンタカーの借り方[07・3・4]
金曜に築地店の田島君たちとスノボーに行ってきました。レンタカーを使いましたが、私のレンタカーの予約方法は普通の人と違います。その違いを紹介します。まず、1ヶ月前に予約をします。「3月2日に四駆のワゴンでスタッドレスが付いたものをお願いします」と普通に予約します。この時の目的は車を抑えることです。次に2週間前に確認の連絡を入れます。この目的は、人間のやることは間違いがあるので、きちんと予約できているかの確認です。次に5日前に装備の確認をします。この時の目的は、万が一忘れていても、まだ間に合うからです。今回先方は、スタッドレスのことを忘れていました。最後に1日前に、届けてくれる、場所と時間の確認をします。これは、念押しです。
業者だから、一度言えばすべてやってくれると思います。間違ったら相手の責任を追及すればよいと思うかもしれませんが、それは間違いです。相手も人間なので間違えることを想定します。「念のため、念のため、念のため」と3回繰り返すことが大事です。仕事は前準備がすべてです。前準備で90%が決まります。
部下に仕事を依頼したら報告までそのままにしないで、チェックと確認が大事です。間違えそうだなと思うところでチェックをしてあげることが大事です。
●寒いと言うな[07・3・16]
10日から13日まで名古屋にいましたが、12日はみぞれが降ってました。
暑い、寒いの不足を3年間言わないと億万長者になれるそうです。本当かどうかわかりませんが、15年前から実践しています。確かに、必要なときに必要な分だけお金が回るようになった気がします。通帳の残高をみて、億万長者には程遠いですが、食べたいときに、食べたいものを、お金の心配をしないで食べられるようになりました。私の人生の目標は、食べたいものやほしいものが出てきたとき、財布や通帳の残高を心配しないでお金を使えるようになることです。スーツぐらいはカードで買えるようになりましたが、目標は「ポルシェ」です。生活の心配しないで、ポケットマネーでポルシェを買うのが夢です。
53才で生まれて初めて外車に乗ることができました。それまでは他の役員のお下がりなどでした。私のマイカーは5万円で買ったセドリックです。ベンツは会社が買ってくれたものです。3年目で16万km走っています。壊れなければ50万kmまでは大切にしたいです。
私がベンツを買って、車が大好きな「親父」に見せたら、残念そうに「もう少し早く乗れたらな」と言っていました。後部座席に乗せて「うなぎ」を食べに行ったのが最後の別れになりました。さぞかし、ベンツを運転したかったと思います。その2ヵ月後に病気で亡くなりました。私も55歳なので、親父と比較すると車を乗れるのもあと15年です。車屋なので、生きている間に好きな車ぐらい「すべて」乗りたいですね。
●能力を引き出す[07・3・16]
最近の新人を見て感じることですが、成長のスピードがかなり速いと思います。私が感じているのですから、皆さんも感じていると思います。
オートベルの仕事や研修は厳しいです。しかし、成長できる環境があるということは皆さんにとって最高のメリットです。新人の皆さんは、気がついていないかも知れませんが、すばらしい成長だと思います。2年間の研修期間とジョブローテーション。ここに成長の仕掛けがあります。若い内に、浅く、広い職場経験が、その後の成長に大きく役に立ちます。
「素頭」の良い人は、どうしても理屈や理論で行動します。そのため、頭の良い人ほど結果が出にくいのです。結果の出にくい「頭でっかち」をジョブローテーションの浅く広くの経験を積ませることで取り去ります。一旦結果を出すコツをつかむと「素頭」の良い人は一気に業績を上げます。ただし、自分を成長させてくれる「ボス」を見つけることが大事です。
「素頭」の良い人の特徴は「プライド」です。プライドが邪魔をして「勇気を持ってチャレンジ。半歩前」がなかなか踏み出せません。プライドはときには大事です。でも、2年間の教育期間中は、プライドは邪魔になります。2年間、馬鹿になりきって、言われたことを素直に受けることが大事です。新卒2年間で素直さを身につけないと、その後の人生が、頭は良いけれど業績を上げられない特徴の「思い込みが激しく、詰めが甘い」「回りの人が馬鹿に見えるが、自分では結果が出せない」「味方に向けて鉄砲を撃つ」といった最悪の状況になる可能性があります。しかし、「素頭」が良い人が「プライド」を捨てたとき、本物の「エリート」が誕生します。オートベルにはその環境がそろっています。あとは、プライドを捨てる勇気だけです。最強の組織が出来つつあります。楽しみです。
●先輩の影響は大きい[07・3・16]
私の経験ですが、新人の時についた先輩の影響は大きいと思います。自分の運命を変えるくらいの影響があります。良い先輩に当たれば良いのですが、全員が良いとは限りません。新人は、社会に出て何もわからない状態で、戸惑いもあります。学生時代は、思い通りにならないと、ふてくされていれば、友達や、親がかまってくれます。しかし、社会に出るとほとんど思い通りになりません。ふてくされても、まったく相手にされません。戸惑います。
良い先輩は、我慢を教えてくれます。悪い先輩は、愚痴や不満を教えます。
私にも、良い先輩と悪い先輩がいました。良い先輩のときは仕事が楽しくてよかったのですが、悪い先輩のときは仕事がつまらなくなって会社を辞めました。今考えると、仕事がつまらなくなったとき、「甘えるな」と怒鳴ってくれた先輩は、よく考えると「自分のことを思って、成長させてくれた」先輩です。そのときは、いやな奴だと思っていましたが、振り返れば良い先輩だったと思います。反対に、私が会社の悪口を言うと一緒になって悪口を言う先輩は、良い先輩だと思っていました。「俺も一緒にこんな会社はやめてやる」と言われたので私も会社を辞めました。その後ショックを受けました。その先輩は、辞めた振りをして会社に残っていたのです。つまり、私に会社の悪口を言っていた一方で、社長には、私の悪口を言っていました。このような経験が3回ぐらいあります。ようやく気がつきました。私に会社の悪口を言う人は、私の悪口を社長に言うのです。両方に悪口を言って、自分がいい子になっていたのです。気がつかない私が馬鹿でした。
人のことや会社の悪口を言う人には、下心があるので、注意しているのですが、今でもよくだまされます。その度、周りの社員から笑われています。人がいいのは一生直らないかもしれません。
●研修参加[07・3・28]
友人の会社(イカイグループ)の研修アシスタントとして参加しました。昨年は、イカイグループの中途研修に、オートベル役員全員が参加しました。研修に参加して、役員の絆が深まったと思います。今回は、イカイグループに入社した大学卒114名の新入社員研修です。私は、イカイグループのアシスタントとしては始めての参加です。
スポーツ採用しているので、とにかく体格の良い人が多かったようです。バスケット部のメンバーは身長が2メートルもあります。サッカーの選手やアーチェリーのチャンピオンもいます。私は全力でサポートしました。お陰で、足の指の骨を骨折したようです。
若く体力もあるメンバーと56歳の体力の差は歴然としています。しかし、気力では負けません。研修が終わって、私は、やりきったすがすがしい気持ちでした。
イカイのサッカーチームにサントス・アデミールが就任しました。オートベルもスポンサーとしてユニフォームを提供します。オートベルも将来は、社会人のスポーツチームを持てるぐらいの企業体力をつけたいものです。
●早朝5時の勉強会[07・4・5]
オートベルの創業期の勉強会は、毎週朝5時からファミリーレストランで朝食をとりながらスタートしました。それも全員です。当時の事務員さんも5時に来ました。講師は、丸山オートベル元監査役です。現在は神戸にある大学院の教授をしています。オートベルの全社員と、地域の経営者も参加し、早朝からファミレスでモーニングを食べながら、小さなホワイトボードを使っての情景は、ほかのお客様からすると異常な雰囲気だったはずです。何回行なったかは覚えていませんが、大変だったことは記憶にあります。大学院の教授になるような先生の勉強ですから、内容は難しくてよく覚えていません。しかし、苦しい勉強会をやりきった自信が今のオートベルにつながっています。
業務がわからない社員がいると朝7時からファミレスで勉強です。今は、OJT、OFF-JTなどの教育制度が整備されています。創業当時は仕事優先です。研修は仕事以外の時間になります。皆の一番都合の良い時間は早朝です。5時から用事の入っている社員はいません。当時の参加メンバーに「オートベルさん。今でも5時に勉強しているの」と言われ、「あ、そうだよな。オートベルの強みのルーツは、早朝5時からの勉強に全社員が文句言うことなく参加してきたことだな」と思いました。そして「この、どこの会社にも負けない、学ぶパワーが今の社員にも引き継がれているんだな」と思い返すことができました。
●自分がしてほしいことをしてあげる[07・4・28]
自分がしてほしいことをしてあげる。
私は小学生の頃から経営者に憧れていました。どうしたら経営者になれるのか。経営者になるための研究していたとき、この言葉と出合いました。自分が経営者になったとき、部下から何をしてほしいか。
20年前、沼津オークションに入社したときに、中島社長にとって最高のナンバー2を演じることを決めました。中島社長は結構気難しい人なので、先輩役員も距離を置いていました。私は、中島社長のつばが顔にかかるくらい「懐に飛び込みました」。中島社長が何を考えているのか、何をしてほしいのかを徹底的に研究し、中島社長の立場で「してほしい」と思われることをさせてもらう努力をしました。その結果が現在のオートベルの姿です。その頃から研究したのは、「人間の研究」です。人間の心を徹底して研究しました。そこで得たことも「自分がしてほしいことをしてあげる」でした。最高のナンバー2が最高のナンバー1になる。いろいろな組織を研究しました。政治家、やくざ、教会、企業。例外もありますが、だいたい当たっています。「親の後姿を見て子は育つ」と言います。部下が上司の言うことを聞かないと、たびたび相談を受けます。私の答えは、「部下は、あなたの真似をしています」です。組織の問題は、トップが100%悪いのです。私の経験で、部下にはまったく責任がありません。上司は人事権を持っているし、教育する責任があります。
私は、問題を起こす社員が出ると「しめた」と思います。自分の心を直す絶好のチャンスだと思います。と、言いたいところですが、まだ5%ぐらいしか成人できていません。お互い成人するようにがんばりましょう。
●敵を味方に[07・4・28]
ここ20年ぐらい気をつけていることは、喧嘩をしないことです。昔は、弱いくせに喧嘩を売るのが得意でした。今は、人との争いを避けています。敵を味方にすることに時間を使います。人との争いを避けるには、自分の器を広げる必要があります。自分の損を気にしないことです。自分が得しようとすると、人との争いが増えます。自分が損しようと思えば争いはなくなります。それが、敵を味方にすることにつながると思います。
自分で言うのも変ですが、今は丸い人間になりました。自分で言っては、いけないですね。
●元気のコツ[07・6・22]
私は、寝る前に布団に入って、自分の頑張りを誉めます。今日は一日最高に良い日だったな。すばらしい仕事ができたな。よく頑張ったな。偉い。と自分を誉めてから寝ます。朝起きると、十分たっぷり、良く寝たなと自分自身に言い聞かせます。寝不足のときも「眠いな」と言いません。「良く寝たな」という言葉を出します。
人間は自分のなりたい自分になれます。自分が声を出すとそのとおりになります。疲れたときに試してください。「今日の調子は最高だ」と自分に言い聞かせれば元気になります。間違っても、しんどいときに「疲れた」と言わないことです。言葉には言霊が宿っています。マイナスな言葉を出していると、本当に病気になります。しかし、痛みは別ですね。痛みだけは何度か試しましたが、自分の頭をだませませんでした。
●かっこよく生きる[07・6・22]
私の生き方の基準はたった一つです。子供から「お父さんかっこいい」と言われる生き方を目指しています。
一店舗でそこそこ成功していた当時、生活は左うちわでした。休みには遊びに行き、夜は酒を飲みに行き、人並み以上の生活や遊びができ、そこそこ満足していました。しかし、あるとき、ふと考えました。子供から見て「父親としてかっこよい生き方しているのか」「男として一度しかない人生を今の生活で満足していて本当に良いのか」と。そして決断しました。「このぐらいの生活で満足していては情けない」「今の生活を捨てても良いから、もっと上にチャレンジしよう」「できてもできなくても静岡県で一番を目指そう」「子供にチャレンジするかっこよい父親の姿を見せよう」と。そして店舗展開を始めました。車も生き方もかっこよいのが好きです。私にとってかっこよいのはチャレンジ精神です。
●オッドマンセオリー[07・7・1]
能力が高くて、ベクトルの合わない従業員と、能力が低くてもベクトルが同じ方向を向いている従業員。部署のメンバーで二人のどちらかを選べて言われたら皆さんはどちらを選びますか。私は、即、能力が低くてもベクトルの合った従業員を選びます。理由はいくつかあります。能力が高くてもベクトルの合わない従業員は、味方に鉄砲を撃ちます。後ろから鉄砲を撃たれてはかないません。勘弁してよ、です。能力の高い人の傾向は、人が馬鹿に見えることです。上司を見下し、上の命令を聞きません。組織としては使いづらいのです。店長命令を聞いてくれないと困ります。最後の責任は店長が取るからです。
能力が低くてもベクトルの合った従業員は、組織にとって結構良いことがあります。能力は3年で誰でも熟練します。上司の言うことも素直に聞いてくれます。
「オッドマンセオリー」といってチームの全員が優秀でも成果が上がらないという説があります。一人足を引っ張るドジな人間がいた方が、組織はかえって結束します。つまり、優秀な人材ばかり集めても組織はなかなかうまくい動きません。過去にプロ野球の巨人が、優秀な4番バッターばかりを集めましたが、結果的にチームとしてうまく機能しない時期があったと思います。私の経験上、成果をあげる組織を作るためには「オッドマンセオリー」を上手に利用した人事が大事だと思います。
●人生を成功に導く問[07・7・8]
人生を成功に導く問いがあります。私は、平成6年からこの言葉を続けています。
1、自分の人生の目的は何か?
2、それはなぜか?
3、そのために何をしているのか?
4、働く目的は何か?
5、目の前にランプの魔人ジーニーが現れて一つだけ願いをかなえてあげると言われたら何を希望するのか?
常に自分に対してこの問いを行えば、先に行っても曲がりません。「成功して不幸になる」に陥らないためにも、人生の目的、目標を見失わないことが大事です。
●納得しないことを喜ぶ[07・7・8]
オートベルを始める前、私は、この言葉の反対をしてきました。気に入らないと逆らいます。
19歳のとき結核で2年間入院しました。そのとき病院の待遇改善を求め、大学生の入院患者3名と2000名の患者を集めて、病院側と改善の団体交渉をしました。結果、私は病院を追い出されましたが、3名で2000名を動かすコツを学びました。学生運動のコツを使ったのです。
38歳でオートベルを始めるまで、納得しないことがあると、相手に散々迷惑をかけてきました。その結果倒産です。オートベルを始めてから、自分が納得できないことでも喜んで相手に合わせてきました。その結果が今の私の立場です。
納得できないことに自分の意思を通して倒産。納得できないことでも相手に合わせて今の姿。
納得しないことを喜ぶと幸せになる。このことを一番感じているのは母親です。親父が長年愛人を作って浮気していました。母親は何度離婚を考えたかわかりません。しかし、そのたびに思いとどまって辛抱してきました。父親が死んで、母親は今年78歳になりますが、新車を乗り回して毎月好きなところに旅行に行き、人生を楽しんでいます。その姿をみて「納得しないことを喜ぶ」ことが人生を幸せにすることを確信しています。
大内流・生きるヒント
オートベルの一員としてはもちろん、社会人として、家庭人として、幸せな人生を紡ぎ出すアイディアやヒントは、いくつもあります。しかし、それらを見つ出すためには、ちょっとしたコツが必要です。この章では、私の生き方や考え方から、より良く生きるためのコツをつかみ取ってください。
●物が集まる仕組み[05・12・30]
会社でいただいたものは全員に分けますが、ありがたいことに我が家の食卓にもいただき物が多いです。社長だから物が集まると思うかもしれませんが、それは違います。物をくれる人の気持ちになって「心をいただく」訓練を積んだのです。それも20年間。何をしたのでしょうか。
1 相手がくれるものは何でも断らない。
2 相手の心をいただく。物が届いたら、相手の気持ちになってすぐ連絡する。
3 心の底から頂いたことを喜ぶ。
些細なものでも大喜びをすると、相手はこんなものでも喜ぶなら、今度はもう少し良いものをあげようか、と思います。だから私は、死んだ人の服や靴、腐った野菜や果物、何でも喜んでもらって、使えるものだけを選んで使います。貰ったものは自分のものです。私が使わないものや嫌いなものは、好きな人にあげます。相手は大喜びです。その相手からもお返しがきます。20年間これを繰り返してきました。このように、くれる人の気持ちになって、心をいただくことが、オートベルの理念である「合わせるべきときに、合わせるべき人に、合わせる」ということです。嫌いという理由でいただき物を断る人がいます。もったいないですね。私が代わりに貰います。ください。
●ゴミを拾って成功した人の話[05・1・2]
ゴミを拾うのではなくお金を拾う。目の前のゴミと目の前のチャンスは同じだと思います。私はゴミを見ると、お金を見つけた気持ちで拾います。掃除のときはゴミを拾えますが、普段はなかなか拾えません。
ゴミを拾って成功した人の話をします。一人はヤクルトのおばさんの話です。東京のあるビルにヤクルトを売りに行きました。エレベーターに乗りました。床にゴミが落ちていました。おばさんはゴミを拾ってポケットに入れました。一緒に乗っていた人が、おばさんに何の用事でここに来たのか聞きました。おばさんはヤクルトを職場に売り歩いていると話しました。その人がついてくるように言いました。最上階の三菱銀行の頭取室です。頭取は言いました。私が明日から全部買ってあげるよと。
次は、イエローハットの鍵山社長の話です。本人から聞いたので間違いありません。鍵山社長は、毎日会社の前の道路を端から端まで、掃き掃除を数年間続けていました。ある日、道路に面している地主が自分の土地を買ってくれないかと言ってきました。社長はお金がないと言いました。地主はいくらでもいい。払えるだけでいい。結局、ただに近い値段で今のイエローハットの本社を買ったそうです。
ゴミを拾えば、お金がついてくる話でした。
●クレームは、どんなときに起きるのか[05・1・10]
クレームは、どんなときに起きるのでしょう。クレームは、相手が「馬鹿にされた」と感じたときに起こります。
間違い、失敗、トラブルは一生懸命仕事をするほど多く起こります。トラブルが生じたときには、どんな些細な問題でも、軽く見ないで、相手を馬鹿にすることなく、誠心誠意で対応すればトラブルクレームは回避できます。いろいろな場面を思い出してください。職場内のクレーム、家庭のクレーム、お客様とのクレーム。自分の周りで起きているクレームはすべて、相手が、馬鹿にされたと感じたときに起きます。馬鹿にされたと感じさせないようにすることがコツです。たとえば、上司に叱られたとき、ふてくさった態度を取れば、上司は馬鹿にされたと思って、長い時間叱り続けます。
叱られ方にはコツがあります。「わかりました。あなたが怒っている原因はこのことですね。もう二度としないように気をつけます」と言えばその場で収まります。「冗談じゃない。自分だって口ばっかりじゃないか」とか「自分でこれをやれと言ったじゃないか」というような態度に出ると、上司とトラブルになり、延々と叱られ続けて、なかなか解放してくれません。
●アイディアとは、今まで脳に入力したデータの見る角度を変えること
[05・1・13]
腕を組んで考えていると、何かアイディアが浮かんでくるような錯覚をしますが、実際にアイディアなんか浮かんできません。脳は、記憶されたデーターの中から一番良い方法を引き出しているだけです。今まで見たことも聞いたこともないようなアイディアなんか出てきません。ただし、今まで入力した記憶の組み合わせはできます。そのために日頃から、本を読んだり、セミナーに参加して、頭にデーターを蓄積しておくのです。これを勉強といいます。
アイディアとは、今まで脳に入力したデータの見る角度を変えること。明治チョコレートの包み紙で一番多い色は?と聞かれたとき、茶色と答えた人は頭をあまり使っていません。包み紙には裏もあるからです。アルミの銀泊もあります。このように別の角度から物事を考えられる習慣を持つ人を、頭が良い人と言います。
●簡単に頭をよくするためのコツ[05・1・16]
簡単に頭をよくするためにはコツがあります。人間は一面からしか見ない癖があります。これを多角度から見るような習慣に変えます。つまり2つを1つに見る習慣だけで頭の回転が10倍速くなります。白を見たら黒を考える。表を見たら裏も同時に考える。たとえば、家が燃えると火事のニュースになります。沼津は空襲で焼け野原になりました。一軒だけ残りました。今度は残ったことがニュースになります。人間は入ってきた情報だけで判断する習慣がついてしまっています。頭を良くする訓練は、火事のニュースを聞いたとき、「燃えていないほかの地区は安全なんだ」と考える習慣をつけておくことです。
部下の指導で、問題を指導することも大切ですが、まじめに出勤して、普通に働いている行動をほめることはもっと大切なことです。問題の指摘と、問題を起こさない、当たり前をほめることも大事です。
頭の回転を10倍にすれば、業績は10倍になります。そのために頭の使い方の習慣を変える事です。3週間(21日)続けるだけで驚くほど頭が良くなります。自分で実感できます。試してみてください。
●夢を持っていますか[05・1・17]
夢をまき散らす。
自分の夢をまき散らせば、夢を実現するための情報が集まります。家が欲しい、車が欲しい。と言えば情報が集まってきます。自分で調べるのも良いでしょうが、まき散らせば、情報を持っている人が集まってきます。つまり、夢を早く達成するために協力者を集めることが効果的です。
夢はゴールから逆算する。
夢を達成する場合、目的とゴール(目標)を決めます。マイホームを建てる場合、奥さんと子供を幸せにするために10年後に50坪の土地に40坪のマイホームを建てると決めます。不思議と実現してしまうのですね。オートベルの事務員がこれでマイホーム建てました。彼氏を父親に紹介したとき、「家も持っていないやつに娘をやれるか」と言われ、10年かかって彼氏とマイホームを手に入れて結婚式を挙げました。マイホームを10年後に建てたいと念仏のごとく言い続けていると、不思議とアンテナが伸びていきます。融資、土地、設計など、急に興味がわいてきて、新聞やテレビを見ても、今まで気が付かないようなことでも見えてくるのですね。私もこれで今の自宅を手に入れました。夢に数値を入れることも大事ですね。
〈夢を言ってはいけない相手〉
否定的な人に話すと夢を壊される恐れがあります。やっかみが入るからです。相手を選ぶ事が大事です。プラス発想の人か自分より大物に夢を話すと応援してくれる可能性があります。
〈夢は大きい方がよい〉
実際やってみるとわかりますが、意外と簡単に夢はかないます。人間の脳細胞はほとんど同じ数だけあります。違いは、どれだけ使っているか、この差です。結果を出すためには「手」「足」「口」を動かす方法しかありません。いくら頭で考えていても「手」「足」「口」を動かして行動しなければ結果が出ません。つまり、効率よく頭を使えば、ほかの人ができることは自分もできるということです。
〈できないこともある〉
肉体的な限界はできません。100メートルを9秒で走れとか、中国雑技団のように、背中を二つに折って股から顔を出すようなことは、普通の人にはできません。
●問題解決方法の極意[05・2・3]
私がこの極意を知らなかったら今のオートベルはなかったと思います。今までいろいろなピンチがありましたが、その都度この言葉を思い出して行動してきました。
究極の問題解決の極意は「問題が起きたら、一番会いたくない人に会いに行く」。
●ツキを呼ぶコツ[05・2・14]
私が20年間行動の指標にしてきたことです。実践した結果、案外当たっていると思います。
自分が常にツキのある状態でないとツイてる人とつきあえない。ツキはツキを呼ぶ。
(1)小さなツキを大切する。
(2)ツキのある奴とつき合う。
(3)ツキのない奴とはつきあわない。自分に力があれば別。
(4)流行、人気を大事にする。
(5)ボランティア(ひのきしん)はツキを呼ぶ。
(6)得意な事、ワクワクする事を先にやればノリがくる。
(7)ツキのないときは暮らしのパターンを変える。(通勤コースなど)
(8)自慢話(高慢)はツキを失う。(生成は止まる)
(9)ツキのあるときは動かない。逆らわない。
●精神修行とは[05・3・14]
修行にもいろいろなやり方があります。大事なことは、
1、落ちている目の前のゴミを拾えるようになること。
2、開けたドアをきちんと閉めること。
3、立ったら椅子を元に戻すこと。
4、脱いだ靴を揃えること。
5、前の人の汚したトイレを掃除できること。自分の汚したものを掃除するのは当たり前です。
座禅を組んだり、偉そうなことを言うよりも、これだけのことを、世界中の人に広めた方が、荒廃した今の世を建て直し、世界平和に多少なりとも役に立つと思いますが、いかがでしょう。
●小事にこだわらない[05・3・28]
大事と小事があります。目的と手段の関係です。小事にこだわって大事を見失うことがあります。
たとえば、家族旅行を企画します。目的は、家族旅行をすることです。交通やホテルは手段です。手段にこだわって目的の家族旅行を取りやめる人がいます。家族旅行の目的や意義に対する認識が弱いと、こういうことになります。
●遅刻を換金する[05・4・21]
遅刻は他人の時間を使うことになります。給料25万の人は時給2500円です。10名を1時間待たせると25000円分の迷惑をかけます。また、遅れても良いと自分が思ったのは、潜在的に相手をなめているからです。遅れた人を叱るのは、遅れた行為ではなく、自分がなめられたと感じるからです。
●質問で人を動かす[05・6・4]
会社や家庭で、周りの人を動かす言葉があります。
ちょっとしたコツを覚えると、びっくりするくらい、自分の思い通りに人が動きます。
その1 相手が「ハイ」とうなずくように話をする。
良い例:これできますか?「ハイ」
悪い例:これできませんよね?「ハイ」
話を聞いていると、このような質問する人多いですね。自分の質問の方法が悪いので相手が拒否するのです。自分の言葉をチェックしてみてはいかがでしょうか?
その2 相手と予定を取るときは2〜3つの予定から選ばせる。
良い例:6月5日の午前中と7日の午後どちらがご都合よろしいでしょうか?
悪い例:いつが都合よろしいでしょうか?
自分が人を動かすのか、人に振り回させるのか、どちらが好きですか?このような予定のとり方をしている人たくさんいますね。これ以外にも、たくさんありますが、ちょっとした言葉のコツを覚えると面白いくらいに人生が思い通りになります。皆さんの回りの人に、今日中に教えてあげてください。アウトプットによって自分の身になります。
●我慢と気づきで出世する[05・8・3]
がまん4分で、気づきが3分、実力1分で、運が2分
20年間振り返ってみて、私自身はこの言葉が当たっていると思います。今まで、いろいろな仕事を経験してきた中で、10年間がまんできない人の半数が組織をやめます。残りの10年間で、仕事のできる人の半数が組織をやめます。または、やりすぎて墓穴を掘って去っていきます。日頃から、上司に「気がつく愛いなやつ」とかわいがられていたら、大して能力もないのに、運よく幹部になれる人が多いです。さまざまな組織を見ていますが、大体こんな感じです。
私自身、前半の人生は、がまんができなくて逃げ出していたタイプです。20ぐらいの職業を転職していました。38歳のとき、人生のコツをつかみました。がまんの上にがまんを続けていたら、今のオートベルの社長の座を手に入れました。いやで逃げ出さなくても、自分にとって不愉快な存在は、勝手にいなくなることが分かりました。契約社員で仕事を始めてから5年間辛抱していたらオークションの役員に抜擢されました。いやな人がいても、相手がいなくなるまでがまんすれば、必ず自分の天下が来ると思います。
●伝授方法を語る[05・11・28]
テクニックなどのスキルややり方を人に伝える場合、人に指導するときは、「誰でも簡単にでき、必ず効果があがる」ことが大事です。難しいことを噛み砕いて、立体的にイメージできるように伝えます。中途半端に頭の良い人は、簡単なことでも難しい言い回しをして自己満足することがあります。本当に頭の良い人は、完璧に理解しているので、できるだけ相手がわかるようにポイントを絞って話しをします。また、即、効果が上がることも大事です。結果が出ないと持続しないからです。自分が相手にやってほしいと思うことは、「誰でも簡単にでき、必ず効果があがる」ように組み立て直してから「伝授」すべきです。
●自己投資を語る[05・11・28]
自分の能力アップにどれくらいの投資が必要か。ビジネスマンであれば、手取り給与の10%は自分への能力アップに使いたいものです。感性を磨いたり、スキルをアップしたり、道のつく習い事(書道、華道、香道、柔道、剣道その他)に投資をしてほしいと思います。仕事や社内の研修を通して、精神力や人格を磨くことはできますが、自分のお金で学ぶことが大事です。
自己投資の習慣をつけることが大事なことだと思います。自分の能力を磨いておかないと、先へ行って情報が枯れることがあります。自分では一生懸命、自分の知識の中で判断していますが、判断の材料が少ないとずれが生じます。まずいのは、自分がずれていることに気がつかないことです。リーダーほど自己投資が必要です。リーダーになるほど決断や判断を迫られる機会が多くなるからです。できるだけ間違いのないような決断や判断をするために勉強して情報を集めるのです。
毎月、給与の10%は「活字の飯」を食うことが大事です。つまり本から学ぶことです。仕事のハウツー本より歴史物が良いようです。歴史上の人物の問題解決には、学ぶことが多いと思います。
●人も物も生かして使う[06・1・15]
弁当についている輪ゴム。捨てればごみ。包装用に生かして使うこともできます。人も同じです。
最近、浴室でシャワーを使う家が増えています。親は自分のお金なのでもったいないと思います。子供は自分の懐に関係しないので、あまり節約しないでシャワーを使います。無駄な電気に気づくのも、自分の懐に影響するかどうかで判断します。身の回り、無駄なこと沢山しています。自分の懐に関係なくても、日頃から無駄取りの訓練を行ってください。そのままでは、将来部下を持ったとき、部下の能力に気づかず、十分能力を発揮させることができないからです。
人でも物でもどんなものでも、生かして使うことが大事です。捨てればゴミ、生かせば宝です。
●うろたえない[06・1・25]
私が、今までの経験の中から学んだ最高の言葉は、「うろたえない」ということです。敵に攻撃されても、うろたえないで、弾の飛んでくる方向、数を確認する。このことが分かってから、人生がだいぶ楽になりました。人生は、トラブル、問題の連続です。頑張るほどにいろいろなことが起きてきます。ホリエモンの立場で説明すると、東京地検が来たとき、「うろたえない」「弾の飛んでくる方向、数を確認する」を実践し、東京地検の目的がどこにあるのか「客観的に判断」すれば、状況が変わっていたと思います。今日の報道では、署名さえも拒否しているそうですが、私にすれば、無意味だと思います。東京地検の目的を知り、できるだけ協力し、早めに「弾をよける」方が良いと思います。
うろたえないで、弾の飛んでくる方向を見定め、よける。これを身に着けるだけで人生が変わります。
●心のほこりをはらう[06・2・15]
徳を積む裏には「心のほこり」をはらう行為が大事です。心のほこりは8つと2つの合計10あります。惜しい、ほしい、にくい、かわい、うらみ、腹立ち、よく、高慢、うそ、ついしょう(おべっかい)の合計10です。心のほこりの内容を具体的に説明します。
1おしい(惜しい)
惜しいからと、物を大切にするのは、ほこりにはなりません。しかし、楽をしたいという怠け心や、遊ぶ時間はあるのに人を手助けする時間や手間を惜しむのはほこりです。税金を出し惜しんだり、会費や寄付を出し渋る、また、借りた物をなかなか返さなかったり、逆に貸すのをためらうのもほこりです。「ありがとう」や 「ごめんなさい」の言葉を惜しむのも良くありません。
2ほしい(欲しい)
おなかがすいたので食べ物がほしい、一生懸命努力して金メダルを取りたい、これらは、ほこりではありません。しかし、分に過ぎた食べ物や着る物をほしがったり、努力もせずに栄誉だけはほしい、これはほこりです。人がいい車を買ったら自分もと、見えを張ってほしがる。必要なものがあるのにそれに満足せず、もっとほしいと思うのはすべてほこりです。
3にくい(憎い)
戦争を憎み、凶悪犯罪を憎むのは、ほこりとは言えません。しかし、自分のためを思って忠告してくれる人を、かえって悪く思い、恨むのはほこりです。また、嫁、姑などの身内同士の憎み合いや人の陰口をたたいてけなす。これらはほこりです。
4かわいい(可愛い)
わが子をかわいがること自体は、決してほこりではありません。しかし、いくら子供が可愛いからといって、好きな物ばかりをあげたり、ほしい物はなんでも買い与えるのはほこりです。決して子供のためはなりません。わが子だけでなく、よその子供もかわいがる気持ちが大切です。一般に、自分さえよければ他人はどうでもいいという心がほこりです。
5うらみ(恨み)
人前で恥をかかされた、面目をつぶされたと根に持つのはほこり。また、身から出たサビにもかかわらず、人のせいにして恨む。自分の力不足を棚に上げ、世の中のせいにして恨む。思うようにならないからと愚痴や不平をこぼしながら生活するのは、心にストレスをためるばかりです。人や世を恨みたくなったときは、むしろ自分を恨む、つまり、自分自身を振り返り、反省することか大切です。
6はらだち(腹立ち)
悪に対する腹立ち、道理にはずれたことに対する怒り、これらはほこりではありません。しかし、人が癪にさわることを言ったから、気にいらないことをしたからと腹を立てる、あるいは、面白くないからと腹を立てるのはほこりです。自分の言い分、自分の立場を先に立て、相手を理解しようとしないから腹が立つのです。
7よく(欲)
社会の役に立つ人間になりたい、人に幸せをもたらす仕事につきたいという向上心。これはほこりではありません。しかし、人より多く身につけたい、取れるだけ濡れ手に粟など、一攫千金を企むことはほこりです。人の物を盗ったり、人をだましてまでも利益を得ようとするのは強欲です。
8こうまん(高慢)
多少得意になるのはかわいげがありますが、実力もないのに虚勢を張る、見えを張るのはほこりです。金や地位、家柄や学歴、立場があるからといって、人を見下すような言動をとるのもほこりです。また、人の欠点を並べ立てて馬鹿にしたり、知らないことを知っているふりをするのもほこりです。
●人生の目的は、成功、富、繁栄です[06・4・5]
皆さんが目指す、家族の幸福や、自己実現はすべてこの範囲に入ります。どうすれば、成功、富、繁栄を手に入れることができるのか。
1、成功、富、繁栄を手に入れようと思うこと。
2、成功、富、繁栄を手に入れる方法を考えること。
3、成功、富、繁栄を手に入れる努力をすること。
実際に、99%の人が、本気で手に入れようと思いません。成功、富、繁栄を本気で手に入れる努力をすると、3年で人生は10倍以上楽しくなります。そして5年後は、99%自己実現します。
●簡単開運法[06・7・11]
努力しないで簡単に運を良くする方法があります。それは、開けたドアをきちんと閉めるだけです。三か月でツキがわかります。
●納得しないことを喜ぶ[06・10・17]
納得しないことを喜ぶと言うと、馬鹿なことを言うなと思うかもしれません。
器の小さい人は、些細なことでも腹を立てます。
器の大きい人は、人を許すことができます。
つまり、器が小さいと、せっかく家庭を持ったり、社会的な地位をつかんでも、些細なことで腹を立て、人を許せず、人を責めて、回りから人が離れて行き、最後は一人ぼっちになります。人が離れてい行く原因が自分にあることに気がつかず、腹を立てた相手に自分の人生を振り回されていることにも気がつきません。これがまずいのです。
自分の器を大きくする訓練で多少は良くなります。その訓練が、「自分が納得しないことを喜ぶ」ことです。たとえば、自分にとっていやな相手の後姿を拝む、失敗は自分の責任と思う、成功は他人の手柄と信じるなどです。一見、損をするように見えますが、違います。いやな相手を許せたり、人の責任を自分でかぶることで、周りの評価が上がるのです。ところが器が小さいとこれができません。結局チャンスをつかんでも小さな器からこぼれる事になるのです。自分に納得しないことが起きたら自分を成長させるチャンスです。この人生哲学をつかむことが大事です。
●チャンスはどこにでもある[06・11・21]
チャンスは気をつけていればどこにでもあります。しかし、そのチャンスは自分にとって都合の悪いことが多く、そのため、せっかくのチャンスに気づきません。
20年前に仕事を始めてまもなく、全財産を盗まれたことがあります。2ヶ月間はやる気を失いました。そんなとき、神社でおみくじを引いたら10番大吉が出て、「紛失したものは必ず出てくる」とありました。「もし、そのものが返って来なくても代わりのものが出てくる」とも書かれていました。翌日から吹っ切れて、今までの何倍も働き出しました。おかげさまで、その年の12月には家を建てることができました。10年前には本社が火事で焼けました。「全ておしまい」と思いました。しかし、火事のおかげで、今の本社ができました。安い金利に変更できました。備品や什器も保険がおりたので、全てのローン、リースがなくなりました。親会社から、無理難題を言われたこともあります。チャンスととらえてがんばったので、今の実力がつき、独立もできたのです。都合の悪いことでも「ハイ」と返事をして、できても、できなくても、誰にも負けない努力をしてきた結果、人並みの会社に成長したのだと思います。
●敵は自分の心にあり[06・11・26]
何かやろうと決めても、ほとんどの人はやらないものです。私もそうですが、自分が決めたことを実践するのは難しいです。自分に対する甘えが原因だと思います。
心には2人の自分が住んでいます。自分に勝つことが人生で成功することだと思います。敵は自分の心の中にあります。何かやろうとする前向きな自分と、やめておこうと甘える自分。前向きなのは魂です。否定的なのは心です。常に魂と心が自分の中で争っています。心とは、自分の悪い癖性分です。先祖からの遺伝子で引き継いでいる場合もあります。また、3歳ぐらいの幼少期に親の育て方で身に付いた場合もあります。自分に勝つには、弱い自分が現れたとき「やめておこうかな」「いや、やろう」と自分に気合を入れます。「いや、やろうと」と心で強く思うことはできます。心が変わってくると、行動が変わってきます。日々、「やろう」と自分の心のモチベーションを高めることが大事だと思います。
●心をいただく[06・12・13]
人から物を貰うときは、品物に乗っている相手の気持ちをいただく事が大事です。品物を見て、自分の好き嫌いで判断する人がいます。たとえ自分の嫌いな物でも、相手の気持ちを組んで、喜んでいただくことが大切です。一旦いただけば自分のものです。好きな人にあげれば良いのです。人から物をいただく時に、私は、自分が使うことより、誰にあげたら喜んでくれるかなと考えます。人に与える喜びがあれば、どんな物でも喜んでいただくことができると思います。しかし、人の物を見て欲しがってはいけません。何でも欲しがる人の心には「ほこり」が溜っています。治さなければいけません。
●貸しの人生[06・12・20]
人間関係を良くするためには、借りの人生より、貸しの人生を送ったほうが良いと思います。
今のように物がなかった時代、近所付き合いはバランス感覚でした。調味料の貸し借りや畑で取れた野菜、多めに作ったおかずなどを日常的に貸し借りしていました。近所でお互いにやり取りしていました。このときに、貸しを作ることが大事です。相手から、多くもらって得したと思っていると大間違いです。借りの人生を送っていると人間関係が悪くなってきます。自分が多めに相手に与える「貸しの人生」を送ることが大事です。私は、周りの人に、この人には何を与えれば喜ぶかなと常に考えています。家に来た人には、そのとき身近にあるものを、気持ちだけでも持ち帰ってもらいます。人と会うときには、相手にとって、メリットになる情報のお土産を持って行きます。ただし、人に物や情報を与えても「見返り」を期待しないことです。与えた人に、見返りを期待しなくても、それに見合うものが周りから必ず返ってくるからです。世の中は不思議です。自分にとって、損と得があれば、迷わず損を取るようにします。綺麗なりんごと痛んだりんごがあれば、迷わず傷んだりんごを選ぶような人格が大事です。
昔の近所付き合いのような、貸し借りのバランス感覚を身につけるには、割り勘をやめることです。飲食の都度どちらかが支払うと良いようです。私は、貸しの人生を送ることを決めていますので、安いときは相手に払ってもらい、高いときに自分が払うようにしています。二次会まで行かないで一次会だけご馳走になったときは、飲食代に見合う金額のお礼を届けて、借りを作らないようにしています。義理や恩を受けたら、相手に倍返しと思っていた方が、人間関係はうまくいくようです。
●馬鹿になる[06・12・27]
人生は馬鹿になった方が勝ちです。馬鹿になるとは、自分の殻を破ることです。自分の殻を破ると、驚くような業績を上げることができます。馬鹿になりきったときに、もう一人のパワーアップした自分が現れます。私も馬鹿になりきって、自分の殻を破ってきました。
この世の中は、馬鹿が勝利するようです。頭の良い人は、なかなか自分の殻(世界)を破れないようです。私は、上司やお客様から頼まれたら、「できない」と言わないようにしています。自分の限界を自分で作ってしまうからです。できない言い訳より、できる方法だけを考える。これが自分を成長させる秘訣だと思います。
●楽しい人生を送るために[06・12・27]
納得しないことほど、喜んで実行します。自分をいじめた人の後姿を拝みます。自分を叩いた人の手の痛みを心配します。足りて収めることが大事です。自分に起きることは、自分の成長に必要なことです。そのときわからなくても、後になってわかってきます。自分をいじめる人がいても、自分の成長に必要だからいじめられるのです。成功したときに、振り返ってその意味を理解できます。
いじめられているときはそれどころじゃないでしょう。しかし、一旦冷静になって考えます。「弾はどこから飛んで、どの方向に向かっているのか」。弾の流れを見ていると自分の行動が判断できます。「うろたえない」ことが大事です。「交通事故」「クレーム」「トラブル」「怪我」「病気」「詐欺」。人生は予測できないことが沢山起きます。
いじめる相手を「拝む」。うろたえない。自分にとって、この災いは必要だと思う。弾の飛んでくる方向を見定める。客観的に対処する。自分におきることは「必然必要」です。拝むことからはじめましょう。職場でもいやな上司がいたら、後ろ姿を拝みます。こうすると相手の懐に飛び込めます。いやな上司が、味方に一瞬で変わります。だまされたと思って試してください。
明日から、後ろが気になるな……。
●成功者の条件[07・1・16]
以前聞いたことがありますが、成功者の条件は、3つあるそうです。素直さ、プラス発想、勉強好き。ありがたいことに、私はこの3つが大好きです。素直すぎて、だまされることも多いですが、基本的に人は信頼します。何事も自分に起きてきたことはプラスに取ります。学校の勉強は大嫌いでしたが、仕事の勉強は大好きです。特に、社長や経営者になるための勉強は19歳から現在まで行っています。皆さんには給与の10%自己投資するように言ってますが、私は、37歳頃までは給与の20%を自己投資していました。
普通の人は、良いことだと思っても実行しません。いつかやると思って最後までやりません。良い話を聞いても、実行しないで聞き流します。悪いことが起きると悲観します。だから、世の中は私のような者でもチャンスがいっぱいなのです。素直に、目の前のチャンスをつかめばよいのです。お金は、雨のごとく降っています。自分の器を広げれば、勝手に入ってきます。
素直に自分の性格と考えを直す努力すれば「運命」は良くなります。できても、できなくても「努力」することが大事です。運命は、自分の考えを変えることで、良くすることが出来ます。
●全速力[07・1・27]
自分の愛する家族、可愛い部下や部下の家族を守るため、辛くても全速力で走り続けなくてはなりません。
多少自分の生活が良くなったりすると元はじまりを忘れ一服します。これがいけません。毎日走り続けて辛いと思ったら、いったんポストを人に譲る勇気が大事です。そこで充電して、気力が充実したらトップに返り咲きます。無理をすると、精神的に支障をきたし、自分の意思とは別な行動をとります。こうなっては取り返しがつかなくなります。
自分中心で考えると、悪いことが悪循環になります。「愛する家族を守る」「かわいい部下を守る」といった自己犠牲の精神が大事です。人のために頑張ろうと思えば不思議とパワーが出ます。
人生は死ぬまで全速力で走り続けます。これを楽しむことが大事です。「難儀、苦労」を楽しむ。このような精神を作るために、日々仕事を通して自己成長するのだと思います。自分にとって、いやなことが起きたら「しめた」と思うことが大事です。
仕事を通して、自分に負けない強い精神を作り、フルマラソンのコースを100メートル競走のフルスピードで駆け抜けてください。今まで見えなかった世界が必ず見えてきます。自分に勝つ、絶対負けない、気合など、自分が負けを認めない限り負けないのです。最後は強い精神力で決まると思います。
●脇の甘さ[07・2・12]
脇が甘いとつけこまれ、脇を締めすぎると人が離れていく。人生でだんだん年を重ねると、いろいろな人との付き合いが生じてきます。社会では、いろいろな人が大勢います。警戒しすぎで脇を締めすぎると、人が寄ってこないので、なかなか良い情報が入ってきません。反対に、脇が甘いと悪い人間につけ込まれます。自分の甘さによって、相手が出来心を起こすのです。お金の管理に無防備で、事業をしている友人の保証人になって自殺した人もいます。典型的に脇が甘いです。相手を警戒しすぎて、せっかくの億単位のビジネスチャンスを逃す人もいます。
脇の開け閉め、これは経験です。この経験を積むのは仕事を通してが一番良いと思います。本を読んでも、良い人と悪い人の区別はできません。自分の経験でしか判断できないと思います。
●二人の自分[07・2・16]
心には二人の自分が住んでいます。前向きな心と悪い心です。やらなくてはならないと思っていながら、なかなか実践できないことがあります。悪いことだとわかっていながら、良心が負けてしまう自分がいます。
口には出さなくても、心で悪いことを思うことがあります。心で思ったことは、実行したこと同じことです。少しでも悪いことを思うと、積もり重なって、ある時期に出来心で問題を起こしてしまうようです。つまり、自分の心の弱さをコントロールできなくなるのです。これは怖いことです。年をとって、社会的に立派な人が、馬鹿な問題を起こすのはこのようなケースです。マイナス思考、人に対して悪いことは、少しでも思ってはいけないと思います。高い地位から転げ落ちると怪我も大きいのです。社会復帰は難しいようです。心の問題は、お互いに気をつけたいと思います。
人の悪口を言わない。人を悪く思わない。人に悪く思われない。自分の心の弱さに勝てば、人生の問題の90%は解決できるようです。自分の都合で言い訳をして、良いと思ったことでもなかなか人は実行できません。
●かっこ良い生き方[07・2・21]
子供にとって親を尊敬できるということは幸せなことです。部下にとっても尊敬できる上司がいることは幸せなことです。
家に帰って仕事のことや人間関係の不満をいうと、聞いている子供や部下がかわいそうです。どんなに苦しくても悲しくても「愚痴」は言わない方が良いのです。「愚痴」を言うと、話した自分はすっきりしますが、聞いている人の心は腐ってきます。聞いている人は同情してくれません。同情してくれるのは「甘い親」だけです。「甘い親」は、そんなにつらいなら会社辞めたら、などと馬鹿なことをいいます。人生は、どこへ行っても同じです。本人にとって「通らなければならない運命」だからです。辛いことを乗り切れば「幸せ」が待っています。これが人生の仕組みです。
3年前に職安の担当者に聞いた話です。仕事はできそうでも、なかなか就職先が見つからない人の共通点は、「俺は、これだけ会社に貢献したのに、会社はわかってくれなかった」と思っていることです。評価は、他人がすることを忘れて、自分勝手な仕事をしているのでこのような愚痴が出ると思います。合わせるべきときに、合わせるべき人に、合わせていれば「ひっぱりだこ」でスカウトがたくさんきます。
人の上に立つ人は自己犠牲で「かっこよく」、部下や子供から「尊敬」される生き方をしたいものです。
●損することを考えよ[07・3・22]
朝起きたら、損することを考えよ。
誰でも、自分が得したいと思います。当たり前です。しかし、人間を研究してみてください。自分は、どんな人についていきたいのか。どんな店で買いたいのか。自分が得することを考えると、人が離れて生きます。自分が損することを考えると人が寄ってきます。
私は創業から損と得があれば損の道を通ってきました。自分が手柄を立てたときには、部下や周りの人に手柄を譲り、部下や周りの人が失敗したときは、自分のせいにしてきました。そのときは損だと思っても、決して損ではありません。目先の利益を追いかけていては成長発展できません。おかげさまで、3年前より新卒の社員が増え、お客様も増えてきました。
自分が得することばっかり考えるのが一番いけません。特に人の上に立つ人は、自己犠牲の精神が大事です。自分の都合より、部下やお客様に合わせていきます。組織は、人を介して結果を出すことが大事です。結果を出すには、人がついてくることが大事です。人がついてくるためには、自分が損の道を選ぶべきです。
●宿命と運命[07・4・12]
宿命を変えることは出来ません。生まれた親、場所、時間など、自分の力ではどうにもできないことが宿命です。しかし、運命は変えることができます。運命は命を運ぶと書きます。自分の力で運命を変えることは可能です。どうすれば運命を変えることができるのか。それは、相手に合わせることです。水のような心を使います。水は方円の器に合わせると言います。水を丸い器に入れると器に合わせて丸くなります。四角い器に入れると四角くなります。このように、相手の心に合わせて行くと、運命がだんだん良くなっていくようです。
家庭では姑さんに合わせ、ご主人に合わせ、奥さんに合わせ、子供に合わせ、職場では、上司、部下、同僚、お客様に合わせていきます。いやな相手ほど喜んで合わせていきます。できてもできなくても実行します。驚くほど運命が良くなっていくのが体感できます。たとえば、ほしいものを手に入れるために並んでいたら、それまでの人生では、自分の前で売れ切れでした。しかし、運命が良くなると、「自分の順番から新しい窓口に並んでください」と、このような変化が実感できます。自分の運命を予測して、運命に流されないように、運命を自らの努力で変えることが大事だと思います。
●勇ませる[07・6・22]
雨が降ってきたら、今日はいい日だな「空からお金が降ってきた」と勇ませることです。「雨が降って、うっとおしい」と言えば、周りの人も「そうですね」となります。しかし、地球全体から見ると水不足で大変な状況になっています。水問題で戦争が起こるかもしれません。
水道をひねって水が出るほどありがたいことはありません。中国の一部の農村では、一日の水の使用量が、一人バケツ一杯です。野菜を洗ったり、炊事、洗濯、すべてその量でまかないます。中国は雨を降らすために雨降りロケットを使っています。中国から見ると今日の雨はまさに「お金が降ってきた」ことになります。
言葉一つで気分が変わります。プラスの言葉を使って、楽しく生活しましょう。
あとがき
幾多の浮き沈みを繰り返してきた自分にとって、これから人のために何ができるのか。そう考えたとき、私は、自分の特技を生かしてみようと思いました。
私の特技は「人をやる気にさせること」です。はっきりとした理由は、わかりません。ひょっとすると、失敗談で綴られた私の半生を知ることで、多くの人が勇気づけられているのかもしれません。しかし、理由はどうあれ、私は人を鼓舞することが大好きで得意です。だから私は、本職は経営者ではなく、社員教育の専門家だと思っています。幸い、オートベルの業務の中で、その技能を磨くこともできました。
では、その特技を生かしてこれから具体的に何をすればいいのか。今考えているのは、経営研究所を設立して、人の上に立つリーダーの育成をすることです。オートベルで培った経営手腕なども、コンサルタント会社として生かしてみたいと思っています。すでにオートベル本社の隣に土地と建物を確保するなど、準備は着々と進んでいます。
その前段階として、現在私は、全国で開催される各種シンポジウムなどで講演活動をしています。また、大学などの教育機関で教壇に立つこともあります。自分がやってきたことが評価され、それが社会の役に立つというのは、うれしいものです。
少し前に、私は自分の子孫のために家訓を作りました。自分の子供や子孫にどんな生き方をしてほしいのか。その思いを自分の体験をもとにまとめました。それは「地味に、謙虚に、正しく」です。
これから私は、自分の時間を社会や人のためになることに使おうと思っています。そして私の生き方を通じて、一人でも多くの人が幸せをつかむことができれば本望です。ただし、大内家の家訓である「地味に、謙虚に、正しく」の精神は、しっかり貫くつもりです。
平成19年9月吉日 大内秀夫